2021.12.02

カフェで原稿、というのに憧れがあった。それっぽいからだ。それで原稿作業のために入ったカフェで軽い朝ごはんのつもりで頼んだなんちゃらドッグが、デートで入っちゃいけないタイプのグルメバーガーみたいな難易度のやつで、いまべちょべちょの指でキーボード打つはめになった。幸先のいいスタートだ。二時間くらいかけて三千字くらい書く。一回寝かす。

MacBookを持ち運ぶにはリュックに直入れは心許なく、無印に寄って「入れたまま使えるパソコンケース」を買う。ついでに襟ぐりの広い下着の追加も。

それから別のカフェに移動して、さっきの原稿を確認する。手直しをして、メールで納品。何日か置けばいいものを、だいたい書き上げたその日に送ってしまう。どうせ寝かしたところで一人でのクオリティの研磨は限界があるし、だったらさっさと渡して一緒によくしていったほうがいい。そう思っているのだけれど、これまでなにか指摘されて直しを入れたという経験もないからただのせっかちのようになってしまう。けれども納品は早いに越したことはないだろう。毎回送った後はナーバスになる。毎回同じようなことばかり書いてるんじゃないか、そもそも手数が少なすぎる、今度こそ底が知れる、そう思う。けれども本当のところ、実際にもうなんも新しいことできない、というところまで書きまくってみたい気もするから、原稿依頼はじゃんじゃか欲しいし、なんなら週間連載とかしたい。

家に帰って、荷物を置いてスーパーに買い出しへ。「入れたまま使えるパソコンケース」はそのままだと味気ないので「冷凍都市でも死なない」の缶バッジをつける。かわいくなった。こんなことなら「代わりに読む人」の缶バッジもゲットしておけばよかったな。

夜は肉じゃが。だいたい我流でやってしまう奥さんが珍しくただすけの言うことを聞いてみたとのこと。でもやっぱり最後に白だし足しちゃった、と悪戯っぽく教えてくれた。おいしい。

Netflixで『ストーンオーシャン』を三話まで。やっぱりよォオ〜JOJOは六部が最高だよなァアア!

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。