労働の息抜きにTwitterを眺めていたらいま世では書評を書けるティックトッカーが必要とされているらしい。僕がなるしかないだろう。次の休憩のタイミングでTikTokのアプリを入れて、話題の子の投稿から傾向を学んだ気になって、さっそく自分でも投稿してみる。撮影から編集までの操作がたいへんわかりやすく簡便で、なんどか途中で投稿してしまって慌てて消したりを繰り返しつつ、二〇分ほどで一個できた。
退勤後に奥さんと近所の居酒屋で日本酒と焼き鳥と魚などをいただいてぺろんぺろん!三〇歳のあなたはねえ、こう、老害とされてる偏屈たちと、お行儀がいいばっかりで実力の伴っていない若者とのあいだに立って中間管理職としてやっていくべきなのよ、と酔っ払った奥さんに今後のティックトッカーとしての活動を励まされる。わかりました!僕は頑張ります!「共感」とか「エモい」とか薄っぺらいことだけ一生懸命にしゃべって、語りの内容でなくその身振りの熱量で再生回数とか稼ぐ感じになったらどうする? と訊いてみると、そのときは私一人で『It Takes Two』をプレイする、との答えで、拒絶の示し方が格好良すぎてにこにこした。
ご機嫌な僕らはスーパーを襲撃してアイスを買って帰る。そして25時まで『It Takes Two』でハチどもを殺戮して遊ぶ。
僕のTikTokデビューはTwitterだと3リツイート5いいねくらいで、まったく無視、という感じだった。なぜだ。500リツイートはいってしかるべき内容だろう。恥ずかしげもなく時流にも乗って、これでバズれないなら僕にはバズる才能がないのだ。あなたのこういう時に微妙に捻くれて絶妙にバズを外す感じをこそ私は信頼しているよ、と奥さんは言う。僕も全くそう思う。現在TikTokでは801再生11いいね。これがどれほどしょぼいのか、まだよくわからない。人気読書系ティックトッカーへの道は、まだ始まったばかりだ。
