どうせ副反応で寝込むのだと決めてかかっていたが、今朝目が覚めた時には微かなだるさはあるにはあれど、熱はなさそうで、またこんなものか、と物足りない。けれどももう気分の上では今日はいちにち寝る日だったので、そのままずるずると布団の中で過ごして縦になったのは一四時過ぎだ。昨晩のビーフシチューを食べて、食べるとお腹が空くので大判焼きも食べて、するとまたすこしだるさがやってくるようでまた寝る。
細切れに起き出してKindleで『現代思想入門』を読んでいる。ものすごく優しく展開されるデリダやドゥルーズの概要を読んで、門外漢なりに読んで受け取っていたものは、案外いい線いっていたのかもしれないな、と思う。高度に抽象的な議論を、卑近な例を想起しながら読むというのはいかにも素人くさいことだと思っていたけれど、この本を読むとやはりそこから始めるほかないのだ、と励まされるような気持ちにもなる。十七時ごろようやく起き出して、ゆっくりお風呂に浸かる。湯船で読み終える。いい本だった。ピエール・バイヤール節が炸裂する本の読み方についてのコラムもよかった。どんなに複雑な処理も、単純な処理の組み合わせでできている。
気持ちよく汗をかいて、炭酸水を飲みながらコーヒーを淹れる。二日ぶりのコーヒーだ。しゃきっとする。これから僕の一日は始まるのだ。日記本の校正を終えて、赤字を反映させる。いよいよ入稿だ。今回は大胆な部数で刷るから、ひやひやしている。発注数は予想よりもいい感じできているから、大丈夫だろうとは思いつつ。印刷は、できあがってしまえば取り返しがつかない。モノとしてデンとあることになるからおそろしいことだった。
夕食は鍋で、鍋はこの前のでおしまいだと思っていた。食べ始めると今日がやけに寒いことに気がつく。え、これは、ものすごく寒いぞ。びっくりした。ずっと布団にいたからわからなかった。僕は豆腐アレルギーらしいという話を奥さんがして、半年くらい前にいい豆腐を食べて寝込んだらしい。僕はそんな記憶がないから、釈然としない。食後Notion で「豆腐」で検索をかけてもそれらしいのは出てこないから嘘なんじゃないかと思う。奥さんの副反応がひどかったことは覚えているが、僕が思っているよりもつらかったらしく、そんな程度ではない、と言われた。こちらは「副反応」で検索してみるとたしかに可哀想だった。僕はどんどん忘れてしまうが、日記に残しておけばとにかく事実だったと確認できる。
既刊の納品のためにクリックポストの準備をする。明日には投函したい。
日記をここまで書いてから、日記本の入稿を終える。どきどきだ。