2022.03.23

いつしかマットレスの上に敷いている冷汗マットがずたぼろでワタがはみ出ていたので、新しいのを買いに行く。ついでにクリックポストの印刷と投函を済ませ、コーヒー豆を買い足し、図書館で本を借りる。自転車があるとフットワークが軽く萎えうう。なんで? 軽くなる。すごい打ち間違いだ。

また寒い日が続いていて、どうしたことかと思う。暖かくなってほしい。いちど暖かさを知って、そのうえで冷え込むというのはこたえる。

作業中に『その着せ替え人形は恋をする』を流していたら、面白くて結構まじめに観てしまった。奥さんがよく言う、趣味を開示することの怖さについての物語だ。とにかく人の大切にしているものを笑わず、村長する、ねえなんで? 尊重する姿が何度も何度も凛々しく美しく描かれる作品で、そうか、誰かの「好き」に真剣に向き合うというのはとてもいいことだなあと思える。人間関係の面倒臭いことがほとんど起きずに、とにかく「好き」のまわりで展開していくのがとても気持ちがいい。登場人物たちの、趣味を開示する瞬間の跳躍、その勇気にハッとする。そうか、趣味を開示するというのは、こんなにも心細く怖いものなんだなというか、奥さんが毎回のように怖い思いをする、それがアニメーションの運動で描かれていて、こんなに勇気のいる跳躍をしてみせた奥さんって、めちゃくちゃ格好いいじゃん、と改めて思う。思うのだけど、奥さんが観てどう思うかは正直わからない。どうなんだろう、観てほしいけれど、一クール完結するまでは観ないかもしれない。となると再来週くらいだ。すぐだな。

夜は楽しみな企画の打ち合わせ。とにかくふわふわしたままで投げて、反応を伺う。こんなやり方でちゃんと成立するものなのかすこし不安だけれど、とにかく暴投を続けてみたい気持ち。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。