一日がっつり本作りデー。円盤に乗る場で書籍版『雑談・オブ・ザ・デッド』の最終調整を行う。僕が事前に赤入れしたゲラにRyota さんがさらに赤を入れていき、隣で僕がすぐさまAffinity Publisher 上で反映させていくという進め方だったのだけど、想定以上にしっかり取り組んで、みっちり六時間文字と格闘していた。途中一時間弱お昼休憩があって、そこで食べたラーメンがとても美味しかった。店名はわからないが、ラーメンと植物のお店を掲げていて、なんだかおしゃれだった。
Ryota さんのチェックはとても丁寧で、赤を反映させていくと格段に読みやすいものが出来上がる。あとで「柿内さんは、編集的感性に乏しいですね」というような意味のことをやんわりと言われた。確かに、僕はこのような細やかな調整に思い至ることはなさそうだった。読みやすさよりも野蛮さに喜んでしまう。だから口語をほとんど口語のままに残しておいて、重複や表記ブレにも鈍感なのだが、たしかにそうした部分をばっさり落とすことで読み手に親切なものが出来上がるし、なんなら実際の会話のグルーヴ感も強まったりするのですごい。言文一致なんてのは嘘ですよ、という言葉が輝いていた。Ryotaさんは赤を入れながら、ここいいんだよなあ、とか、こいつら失礼だよ、などと楽しそうにコメントをにこやかに連発していてとてもよかった。
なんとか予定時間内に無事終えて、ささやかな打ち上げ的なあれで十八番。レモンサワー、冷奴、青菜と焼豚炒め、バンバンジー、餃子。カウンター席から厨房でテンパる店主の様子を眺めているのだが、どれだけ追い詰められてもサーブのおばちゃんたちに敬語でお願いする姿がとても格好よかった。
Ryota さんのエピソードトークはものすごく面白くてケラケラと笑う。僕もこのくらい愉快ななにかを提供して、面白い話としてこの口から語られたいものだ、と思う。
今回もかなりいい本になると思うのだが、誰に喜んでもらえるのかさっぱりわからない。本は毎回「一体誰がこれを読むんだろう」という気持ちで作っている。僕は基本的には打算的だが、その勘定を数字を使って行うことはあんまりなくて、主に文字で行なっている感じがある。だから数値だけで損得を考えるとけっこうアホらしいことをやっている。数字を使った打算を頑張るのは、賃労働の世界でお腹いっぱいな感じがある。あらゆるものごとを数で演算するのはなんかやだ。とはいえ文字も数字と同じくらい危険なものであるのも忘れてはいけない。言語偏重になってしまうと、それはそれで話が通じない人間になる。『雑談・オブ・ザ・デッド』は部数だとかそういう数字の勘定もそうだが、「どんな人に届けたいか」という文字的な勘定の部分でもいまだによくわかっていない本で、いったいどうやって売っていくつもりなのだろう。ポッドキャストからとても楽しそうに聴いてくださった武塙さんは喜んでくれるだろう。というか僕もRyotaさんも具体的に思い浮かべているのは武塙さんの顔だけで、武塙さんにもっと喜んでもらいたいからたくさん売れたらいいなと考えている。今日の日記で試してみて分かったのだけど、僕は武塙さんのように美味しそうな日記を書くことができないみたいだ。食べるのすごい好きなはずなのに。なんなんだろう。情報としての食に対する感度が低くて、とにかく「美味しい」しか出てこないというのはありそうだった。
