大胆に刈り上げた結果、頭の後ろの方に10円ハゲがふたつ表れたのだが、そういえば子供の頃からここは毛が生えていなかったようにも思う。高校生くらいの時に発見して、このままつるっぱげになるのではないかと本気で怖かったことを思い出す。最初から生えていない場合も円形脱毛症でいいんだろうか。なんだか懐かしい気持ちになった。なんどか坊主に近いところまで刈り上げたいと美容院でお願いしたことがあったがやんわりと断られたのは、もしかしたらこのハゲを気にしてくれてのことだったのかも知れない。けれども後頭部の方というのはふだん自分では見えないのであって、僕は鏡に映る僕がよければそれでいいわけだから、本人としてはそう気にならないものだった。気にならないんだ、と自分の中の思春期が驚いている。ずっと気にしていたからこそ、髪を伸ばして、隠して、いつしか自分でも忘れているくらいになっていたわけだから、それは驚くだろう。でもなんだか、もうなんでもいいみたいだ。ともかく歳をとると自分がどう見られているかに実存を賭けるみたいなことがなくなって、とにかく自分にとって似合うと思ったり気分が上がる格好を選べるようになるからいいものだ。つるっぱげに怯えた高校生の頃の僕というのは、思春期らしい真剣さで未来を憂えたわけだが、いまとなってはむしろ「いまの経年変化した顔に髪って似合わないんじゃないか」とさえ思うから、その時が来たらミシェル・フーコーみたいになるのも悪くない。髪を刈るとごつめの眼鏡がよく似合うようになるのが楽しい。これからの僕の顔は髪より眼鏡だな。
『代わりに読む人0』の見本誌が届く。これは格好いい。YouTube で友田さんと竹田さんがお喋りしているのを眺めながら黙々と餃子を包んでいく。
明日はバタバタしそうなのでご馳走は今晩。餃子と焼売、小籠包。ぜんぶ自分たちで包んだ。たらふく食べて、ビールと紹興酒も舐める。満足だ。嬉しいな。ほろ酔いで、うとうとする。ご馳走を食べるといったんすべてが満たされてしまうな。なんだか明日の文フリが面倒くさくなってきちゃった。でも明日になったら楽しいだろうな。夏の家族旅行の話も決まっていく。楽しいことが沢山あるなあ。
