2022.06.11

おニューのTシャツをおろしてごきげん。

奥さんと近所を散歩。しゅっとしたビリヤニを食べる。なんというか、作り手の「黙っておれの作法に従っとけよそうすりゃ美味いから」という感じで、たしかに美味しくはあるのだが窮屈で、そんなふうにビリヤニ相手にかしこまりたくないやい、と二人ともすこし納得がいかない顔をしていただろう。それからいつもの薬局で漢方を買って、駅前で洋服をひやかす。奥さんはふらっとお店に入るのが上手になった。試着までちゃきちゃき進む。はじめのころは試着はもちろんお店に入ることすら決めかねて、通路から遠巻きに眺めるだけで、ほとんどの場合ううん、と気のない声を出して、それから「まあいいや」と言うのだった。僕はとにかくたくさん着てみて、ああだこうだと盛り上がりたいから物足りない。いまでは何着もいっぺんに着て見せてくれるから楽しい。赤いワンピースがよく似合っていたが、買うには至らなかった。こうして洋服を見るのは疲れるけれども楽しいのでもっとしたい。

起き出したのも昼前だったし、あっという間に夕方で、雨も降りそうで降らない。ちょっと限界を迎えかけたのでカフェでキャラメルを挟んだチョコレートケーキの上にアイスが載っているというとにかく甘さだけで構成されたものを食べて復活。あまりにてきめんに元気になって、僕はスニッカーズとかを携行しているといいのかもしれないと真剣な顔で言うと、スニッカーズのCMそのものだ、と奥さんは笑った。

家に帰って夕食の支度まで三〇分仮眠を取ろうとすると一時間半寝ていて、もう夕食の支度はできていると言う。しまったことだった。奥さんは、ふふん、と得意げで平伏した。びっくりするくらいスコンと眠った。

今日は起きてからずっとこの一ヶ月くらい溜まっていた阿久津さんの日記を読み進めていて、ようやく読み終える。毎週だと朝の楽しみだけれど、一ヶ月貯まると一日仕事だ。こつこつ淡々とやることの凄みを改めて思うし、いちどリズムが崩れたらあっという間にどうにもならなくなりそうだとも思う。お風呂上がりにようやく本を開く。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。