2022.06.13

今日から二冊。『はじめての西洋ジェンダー史』から『近代フェミニズムの誕生 メアリ・ウルストンクラフト』へ。今日は第一部。メアリ・ウルストンクラフトの評伝を読む。近代の黎明期に、社会から付与される属性から抜け出しあくまで個として生きようとすること。だいぶ毛色は違うのだが『ラーエル・ファルンハーゲン』を思い出す。共同体に背を向ける個人の兆しは恋愛に表れる。『ZINE アカミミ』に寄稿してもらったトリュフォー論を改めて読み返したい。思想としてのフェミニズムを歴史上初めて体系化したとされる文筆家の娘が、のちの『フランケンシュタイン』の作者である、という箇所で、大河ドラマじゃん! と思う。フェミニズムの文脈からの『フランケンシュタイン』の再読というのがどれほどありうるのかわからないけれど、『メアリーの総て』を観たくなった。

もう一冊は『「腹の虫」の研究』で、こちらは『狙われた身体 病いと妖怪とジェンダー』から。本が本を呼ぶ連鎖がうまく成立していくのは気分がいい。病の原因を霊的なものに求める「霊因」から、現代医療の「心因」へ。両者の移行を橋渡しするものとして「虫因」という観点が挿入されていたのだという。「虫」は、霊能者から医療者へ治療者の地位を置換するための媒介として、実在と想像との中間に見出された。

面白いなあ、面白いなあ、と唸りつつ、体調は芳しくなく途中寝込むように昼寝した。

夜は楽しみな打ち合わせ。すでに面白い話がざくざく出てきて期待が高まる。夕食は天ぷら祭り。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。