日中は眠くて怠くて仕方がなかった。気の抜けたニュースレターを送る。夕食後、気晴らしに散歩。三千歩くらい歩くとなんとかなるとわかっている。
ヨイヨルさんと録音。はじめましてだったのだけど、終始楽しいおしゃべりだった。録音をチェックすると少し僕の声が小さくて、Skypeの設定をいじっておくべきだったかもしれない。でもまあ通しで聞くうちに気にならなくなるでしょ、とも思う。全編聞き返すのが楽しみだった。録音後に川上未映子の話をしていて、僕はまだ性の自覚が未分化だった時期に『わたくし率』や『乳と卵』をほとんど自分のこととして読んで、でも『ヘヴン』で作中主体が男の子になった途端、これは僕とは違う、と衝撃を受けてそれから距離がある、というような話をしていて、びっくりした。そうだったんだ。その勢いで、寝る前は未映子『頭の中と世界の結婚』を聴いて、思い出にすり潰されそうになる。すり潰されたりせんぞ、すり潰されたりせんぞ、と竹刀を振り下ろしてもどうにもならない。四曲目。ヘッドホンで「麒麟児の世界」を爆音で再生し、気持ちよく大仰にリップシンクしながらジャスコまでの国道をチャリで走った日々が思い出され、みっともなさとつるつるさにギョッとする。『ヘヴン』が高三か。高校生の頃まで僕は性は未分化だったというか、産む気満々だった。たぶん高三のこの時期以来、だんだん自分の男性性が膨らんで固まっていったのだと思う。でも大学生のころもすこしふわふわしていたし、ずっと産みたいとは思っていた。川上未映子といえば僕は矢場町のパルコで、そこで何冊も買ったはずだった。彼女のブログが好きだった。鍋をつついていて、ふと、死ぬまで生きていくんだ、と気がつく話がとても好きで、あれは『そらすこん』とかに入ってたのだっけ。確かめたいが、売ってしまったかもしれないな。『ヘヴン』の拒絶の衝撃は大きかったから、それ以来読めていないのだ。受験生の僕は未映子と、Peaple In The Box の『Ghost Apple』ばかり聴いていた。