2022.09.14

さいきん日記を楽しく書いているが、たくさん書き過ぎて疲れてきたので今日は少なめにしようと思う。台風が三つもできてる。北はすぐに大陸だから、のこりの三方の海をすべて押さえられた形で、陸地はむしろ気圧が上がるのだろうか、はやくも台風一過のようなカーッとした晴れで、僕は台風が接近してきた時のように、来客に興奮した犬のようになっていた。このままでは家具などを破壊したりしかねないので散歩に出る。お昼ご飯を買いに行こうと思い立ち、目当てのお弁当屋さんは定休日だった。日焼け止めを塗ってくるべきだったな、サングラスもしたほうがよかった。けっきょくお寿司屋さんでお寿司を買って帰る。三千歩くらいのお散歩だ。

本はきょうは『いいお店のつくり方』を読み終えて、『ビリジアン』と『「こつ」と「スランプ」の研究』と『男性性の探究』と『新しいアナキズムの系譜学』をあちこち行き来して、なんだかどれも身が入らなかった。こういう散漫な気分で、でもなにか面白いことの到来を待ち焦がれているような、そんな状態に『ビリジアン』の断片が非常によく響く。

iOS の更新をしたらロック画面の感じが変わって、せっかくだからフォントもいじって新品気分。山南さんの実装で、悠木碧のインスタのストーリーがお祭りだった。にこにこしながら何度も眺めに行く。オタクのはしゃぎ倒す姿は見ていて元気が出る。僕は日本にはあまり興味がないのでいまは平熱。和服のネロちゃまが出てきたら話は別ですが。お風呂ではKindle Unlimited で「ファミ通」を読む。久しぶりにこういう情報誌を読んだ気がする。格好よさを目指しているわけでもない、野暮ったくも賑やかで楽しいレイアウトに目が喜ぶ。コロコロコミックのゲーム情報のページみたいだった。そうかKindle Unlimited は雑誌も読めるのか。竹書房怪談文庫のためだけに使っていたけれど、雑誌もいいな。下品な実話誌とか読んでみようかな。実話怪談のおもしろさに目覚めて以来、「実話」の下世話さにもほんの少し関心があるのだけれど、下劣なものは嫌いだし、でも下衆の勘繰りみたいな感性はたしかに自分にもないわけではないので、いちど見つめていたい気もする。しかし前にも書いたが実話誌の実話は「本当にあった話」ではないので、実話怪談とはあんま関係ないのではないだろうかという気もする。内臓やお尻が惜しみなくぷりぷり出てくる映画は喜んで観るくせに、実話誌は嫌悪して読もうともしてこなかったの、前者はレンタルビデオ屋の暗がりにおどろおどろしく潜んでいるのをこっそり見つけてどきどきした記憶が、後者はコンビニや電車の吊革でけばけばしく主張してきて鬱陶しかった記憶が、それぞれに作用している気がする。後ろ暗いものは、はじめから明るいところにあってもしょうもない。

Kindle Unlimited では、鳥山石燕『画図百鬼夜行』も入っている。京極堂にハマった小学生の頃、この本が欲しくて、大判の八千円くらいで、家がものすごく貧乏だと思い込んでいた柿内少年はこの本が欲しくて、でもこんな高価な本をねだってはいけない、ねだったら本は買ってもらえる家だったからこそねだってはいけないと思い詰め、よかれと思って促す母をおそろしくおもいながらはらはらと涙をこぼしながら父にねだった思い出の本だ。高校生くらいの時にあっさり文庫本が出て複雑な気持ちになったものだが、その文庫がいまじゃ読み放題ときたもんだ。

少なめとは。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。