池袋行きの電車に間に合うように起床できる。労働日よりも早いくらいだ。いそいそと向かう。車内で座席を見ると、半分より多いくらい埋まっていて、こんなにたくさんの人が、と思う。
朝の池袋は汚い。
新文芸坐「ゾンビ」三部作一挙上映。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は何度観ても惚れ惚れする。このまえ劇場で観たばかりだし、今回は字幕を追わずになるべく聴き取り頑張ってみた。ほとんど追いつけないけど、字幕で落とされてるディティールをいくつか拾えた気がする。動揺してもたついた台詞回しを、端的な理路にまとめる字幕の苦労をなんとなく感じた。
ロビーでチョコパンを頬張る。
『ゾンビ 日本初公開復元版』を観て、そもそもダリオ・アルジェント版自体が初めてかもしれないと気がつく。こんな輪郭のくっきりした映画だったのか。残虐描写がバッサリ切られてるのも、活劇としての面白さが際立つかも。冒頭の星の爆発と謎のテロップは明らかに蛇足なのだが、題字もあいまってテンションが高くてなんだかよかった。個人的な好みは米国劇場公開版の冗長さや退屈さがあったほうがいいけれど。僕にとって『ゾンビ』はもっと静かな映画なのだ。
コーヒーを買いに外に出るとはっきりとした晴天で驚く。また夏になっちゃった。
『死霊のえじき』。初見時は前半のクソパワハラ会議シーンの体感が長すぎてつらかったが、全体を把握したうえで再見すると舞台設定の説明をギリギリまでミニマムにしたシナリオのバランスの見事さがわかる。クライマックスの深紅の血糊と内臓の大盤振る舞いも楽しいし、ラストの素っ気なさも格好いい。
今回の一気見で感じたのは、ロメロのゾンビはすべてまずなにより楽しい娯楽作であるということだった。古典的風格、冒険活劇、スリルとサスペンス。それぞれ異なったテイストで、奇妙なアンバランスさを持ちつつきちんと娯楽作に仕上がってる。ぜんぶ一度以上観ている作品だし、途中で飽きるかもと危惧していたけれど、むしろ三作とも「あれ、こんな面白かったっけ」と驚いた。熟成されて面白くなってる。不思議だ。ロメロ三部作はサメ映画における『JAWS』みたいなもので、ゾンビ映画は、これからもなんでもできるけど、この三作を超えることはないだろう。そんな気持ちになる。すっごく楽しかった!
うきうきした気持ちで春頃から放置していたホームページのZINE 情報の更新作業にとりかかる。iPhoneからじゃ限界があって、情報だけメモに仕込んでおいて帰宅後PC で反映する。
奥さんと久しぶりの録音。かなりいい話もできたのだけど、僕が途中で濡れそぼったタオルのようにぐったりしてきて、話の筋道を見失って途方に暮れてしまい、おそらく使い物にならない。気絶するように一時間強眠り、元気を取り戻すも奥さんはもう僕がいない前提で夜を組み立てていて素っ気ない。もうそろそろ日付も変わるし、諦めてこのまま寝ようとも思ったのだけれど、だいぶ眠気は去っていて、同居人がキッチンでなにやら作業する音もうるさいから、寝れそうにない。諦めて日記。