朝起きてきょうのデートの内容を相談。下北沢ではカレーのお祭りがやっていて、今回は『A3!』とコラボがある。BONUS TRACK のお洒落広場で三角くんのパネルが孤立して浮いてるところがちょっと見たいかも、という奥さんの意見をもとに、下北沢でしたいことを調べていくと、ちょうどトリウッドで『ブギーナイツ』がかかっているという。しかも無修正版! 慌ててチケットを取る。もう横並びの席はなくて、前後でとる。僕が映画に求める愉悦のほとんどは『ブギーナイツ』に詰まっている。チチ! ジャックの席にハマグリを!
駅ビルでブランチのクロワッサンを食べてから下北沢へ。BONUS TRACK 前の緑道が完成していてますます気持ちがよかった。月日で武塙さんの日記本を買う。B&B に入ると本を買ってしまうから入らなかった。ADDA は開店待ちの行列ができていて入るのは諦める。三角くんのパネルは木の枝に隠れていて不憫だった。サイン色紙の写真を撮って満足。お腹も空かないし、時間までほかのパネル接置店を外から冷やかす散歩をすることにして、あれこれ見て回る。8 jours でミルクティーをテイクアウトする。ミルクティーはピスタチオの味で、すごくピスタチオだった。大半は店内にあるらしくて、結局シトロンくらいしか見つからなかった。トリウッドに着いて、奥さんとここに来るのはチェコアニメ特集以来で、あれはもう何年前なのだろうか。まだダーウィンルームがあったころだ。
客電が落ち、あまりに見事なオープニングが始まる。ほとんど鳴り止むことのない音楽。プールサイドでのパーティー、80年へのカウントダウン、華やかで多彩で緻密な長回しだけでも惚れ惚れするのに、この映画は好きな光景がいくつもある。一息にぺろんと裸になるローラーガール、ナニを見た大佐の表情、映画に出たモーリス、鬘をかぶって寂しそうなドン・チードル、擬似家族形成の愛情表現がどうしてもクスリになってしまうマギーの泣き笑い、すべてのスコティ、ジャックの雄弁な背中。言葉でなく画で語るという映画の基本を僕は『ブギーナイツ』で学んだ気がする。群像劇のひとりひとりを粒立たせる演出の楽しさは、初見の奥さんには『HiGH & LOW』の群舞のような喧嘩の撮り方を想起させたと言われてなるほどと思う。奥さんはこれまであまり映画に親しんでこなかったといいつつ、だからこそ先入観に毒されていない素朴さではっとするような指摘をするので面白い。僕は『ブギーナイツ』は好きすぎて言語化できないところがあるので、奥さんの鋭い分析の言葉に嬉しく感心しきりだった。
二人とも大満足でわいわい感想をお喋りしながら梅ヶ丘まで歩いてフグレンでお茶する。余ったるいパウンドケーキみたいなのも食べる。そこでも感想は止まらない。羽根木公園を久しぶりに散歩する。
夜はお好み焼き。今日は粉もん尽くしだった。ものすごくお腹がいっぱいで、帰り道は三駅ぶんくらい歩きながらたっぷり録音。気がつけば12時間ちかい長丁場のデートで、遊び疲れる感覚が久しぶりな気がした。満足して帰宅。夕食くらいから右目に鈍痛があって、前髪が刺さって内側で炎症でも起こしているのかもしれない。動かさないでいれば首を振っても痛みはないから、おそらくできものか、ゴミが入っているか、目を取り出して洗いたい。洗浄液は買ったのでそれでじゃぶじゃぶする。