昨晩はWordPress で日記の公開ができず、ほとんどパニックになりながら二時間くらい格闘していた。バージョンのダウングレードやらプラグインの停止と再稼働やらキャッシュクリアやらあらゆる手を尽くして、結局はDynalist からNotion にコピペする際にある一文字が環境依存文字になっていたことが原因で、最初から不具合ではなかったと知れた。特殊文字検知のブラウザサービスで該当の字を割り出して修正したら公開できて、しかしこの二時間の悪戦苦闘はなんだったのか。あちこちいじったせいでパーマリンクの命名規則がメチャクチャになっていたり、Twitter にリンクする際のアイキャッチ画像が表示されなくなったりと後片付けが大変そうだった。もうそのへんはもういいや、と諦めて寝た。必死の暗中模索と一応の決着という一連はどこか久しぶりで浮き足立つようなところもあり、きもちよくアドレナリンを分泌したなという満足感すらある。しかし実態は徒労である。
翌朝は奥さんも僕もお休みで、思ったよりも早起きできた。朝ごはんを食べながら今日の計画を考えるも、二人ともそこまで欲望がなく、術後の体調を気にしているからあまり大袈裟なことはできない。どうしたものかねえ、と決めあぐねて、窓の外は見事な秋晴れだった。枕元のパキラはメアリ・シェリーと名付けられたのだが、買った時のままのプレハブみたいな鉢と土のなかでフランケンシュタインによって電気を流し込まれる前の怪物のような様子。いよいよ植え替えてやらないとやばい。本当は寒くなってきてからの植え替えはご法度らしいのだが、そうもいっていられない。電車で千住の方まで出て、ホームセンターで大ぶりの鉢と腐葉土を買ってこよう、それで周囲をお散歩にしよう、そうしようじゃないか、と二人で出かけて行った。
ホームセンターでの買い物はさくさく済んで、真っ白な鉢と観葉植物用と書かれたブレンド土を購入。ドラッグストアでペットボトルを二本買って、ぶらぶらと散歩に出かけた。墨田川はこの季節らしく薄青く澄んだ空と対照的に緑がかった暗い色をしていて、川とは交通の要なのだという頼もしさを感じる直線だった。なんとなく遊覧船に乗りたいような心持ちになる。日差しは正午を回ると暑いくらいで、首筋にじりじり照りつける。二人とも黒い服を着ていたから、背中がぽかぽかだ。タコスのランチを食べて、お団子を歩き食いしながら荒川を目指す。こちらも空よりも濃い色をしていて、幅がうんと広い。そばまで下りていって腰掛けると、太陽によって腰が温められて気持ちがいい。ヨットがすごい勢いで走っていくと、後には二本の線がのこる。その線が両方向にだんだんと広がっていって、ヨットが通過してから二、三分の時間をかけてこちらの足元に大きな波として辿り着く。波というのは一つの大きな波がいきなりできるのではなく、何かのきっかけで大きめのうねりができると、ふだんの小さな波の戻りがそのうねりに押し返される形でまた打ち寄せて、その戻りがまた増幅したうねりに阻まれてすぐ打ち寄せてきて、というように、朝起きるとシーツが片隅にこんもりと丸まっているのと同じような成り行きで大きくなっていくのだと知れた。大きな波ができると水辺で遊んでいる子供たちが一斉に立ち止まって、波だ! という。ある女の子は両手にすすきを掲げてわっと走り出した。その後ろを同じ服と髪型をした女の子がこちらは恐竜の足を模したパカポコを同じように高く持ち上げてついていく。べつのちびはすこしでも水に近づこうとよいしょよいしょと段々をくだっていくのだが、股の下が段差と同じくらいの長さしかないので危なげだ。少し離れた原っぱではレジャーシートに寝転んだ父親の腹に体ごとぼすっと倒れ込む子供もいた。腰に太陽を感じながら、波と子供達の運動をぼんやり眺めて、風が出てきたところで立ち上がる。
けっきょくたくさん歩いて、僕は11268歩、奥さんは13496歩。一緒に並んで歩いてもこれだけ歩数が違う。背の高さも歩幅も違うから、僕たちが見ている景色は違ったものだろう。明るいうちに帰って、ごろごろしながらゲームでもしようとSteam で『INSCRYPTION』を買って遊ぶ。『Slay the Spire』みたいだ。あれは僕は早々に飽きて、奥さんが結構やっていた。二面の湿地帯をなかなか抜けれなくて、ようやく抜けられたと思うと今度は失敗が怖くなってくる。三面のボスの直前まで来て、一度中断。夕食のブリしゃぶを食べて、日記を済ませる。さあ、これからいよいよ挑戦だ。緊張するな。やり直しが効かないというか、失敗すると振り出しに戻ってまた初めから挑戦する方式のゲームは、進めば進むほどプレッシャーが高まるから、よくない。
