昨日のことだが、医療脱毛を受けようかとカウンセリングに行った。エレベーターを出るとすぐ受付で、応対するのもされるのも女性ばかりで、そうか、と思う。すぐに施術を受け終えた男性が個室から出てきて、カウンターで次回の予約に関するやりとりを始めて、ひとりじゃないことに安心するような妙な気持ちになった。ある場で自分だけが男性であるようなとき、僕はこの空間に加害の予感をもたらしません、という意志をどうしたら醸し出せるだろうかと考えてしまう。もしかしたら僕はここにいるだけで不安や居心地の悪さをもたらしているかもしれない。個室で一時間強ていねいなカウンセリングがあり、このあと医師による診断がありますのでお待ちください、と十五分くらい待ったあと、医師が現れて着席もせずに、それではすいませんがマスクをとってくださいますか? あ、ハイ、きれいですね〜、とだけ言って五秒で去っていって笑ってしまう。月末くらいから受けてみることに。
それでなのか、就寝中のマウスピースにまだ慣れないのか、あるいは『EEAAO』に出てきた凶器としてのディルドのせいだろうか、今朝は洗面台に浮かぶ自分の亀頭を眺めて、灰色だな、え、いやそもそも亀頭って付け外し可能なんだっけ、たぶんちがくないかな、もしかして、これって取り返しのつかない事態なのでは? と呆然とするという夢を見て、明け方に目が覚めてしまった。そのまま寝直せばいいものを、愚か者なのでスマホをだらだらいじってしまって、いちど起き出してから昼寝にちかいタイミングで二度寝してしまった。
きのうの告知のあと、さっそく注文や問い合わせをくださる書店があり、それがすべて真っ先にこちらからご提案したかったお店ばかりだったので、嬉しかったし、告知の前に営業できたらよかったよな、とすこし申し訳なくも思った。制作の原価もあらかた固まったのでさっさと売価を固定し、予約用の素材を用意して各店に連絡する。するとその日のうちにページを作ってくださるお店もあって、ひとつずつのリンクに僕が抱いているそのお店の素敵さについてコメントを添えてツイートする。僕は本はどこで買っても同じものではない。物は必ず場所や人の記憶と結びつく。
渋谷のラジオのアーカイブやいくつかのポッドキャストを聴きながら、日記の校正三巡目。本を作っていると本が読めないのがいちばん困る。僕の書くものは僕好みでとても面白いのだが、僕のじゃない本が読みたい。
ある程度こちらからの提案のメールを送るのもやって、ここからは売れ行き次第であれこれ調整する形になるだろう。ようやく一息つける感じがあって、きょうは銭湯かな、と考えていた。銭湯はいまは500円で、僕はお湯だけだとすぐにのぼせて一五分足らずであがってしまうので割に合わない気がしていたが、これを腹を満たすためにワンコインの定食をさっと食べさせてもらうようなことだと考えればまったく不平などありえないと思い、行くと決めた。長居しなくても勿体なくないとなればサウナもなくていい、僕はどうやら水風呂が好きで、水風呂のためにサウナに入るところがあるが、この銭湯はお湯が熱めで、水風呂は20℃とぬるめだから、湯に浸かって温まれば充分に水風呂を楽しめそうだった。試してみるとバッチリで嬉しい。ここに関してはサウナ要らずだなあ、と満足げに露天風呂の縁に腰掛けて風にあたる。けっきょく四〇分くらいは滞在したのだろうか。帰りに缶ビールを買って、飲みながら散歩。まだ入稿もこれからなのだけど、打ち上げ気分。家に帰るとくしゃみが止まらなくて困った。筋肉とお金(製作費)で全て解決しちゃうみたいな大雑把な映画が観たい気分。最後は車とかアジトとかが派手に爆発するようなやつ。じっさいはエーステ冬単のアーカイブを見ていた。大楽を経てからだと、未完成な部分の多さに驚く。ここからあんなに素晴らしい上演へ育っていくのか。