2023.04.03

くしゃみのしすぎで腹筋われそう。僕の場合ほんとうにわれる。おなか周りにほとんどお肉がないからすこしのことで筋肉が盛り上がってくる。すぐ盛り下がる。猛烈な眠気もある。奥さんはスギで僕はヒノキらしい。例年バトンタッチで僕がぐじゅぐじゅになる。今年は奥さんと同じタイミングで薬も服み始めていたし、それで奥さんはだいぶマシそうだったから油断したが普通につらい。なんなら去年よりもつらい。薬がなかったら今ごろ体中の粘膜が鼻から垂れ流されていたと思う。

きょう配信のポイエティークRADIO を受けてRyotaさんが「序盤から熱烈わかしょ文庫評が炸裂」と書いてくれる。熱烈な評。それが僕の癖だった。僕は僕自身の話よりも、僕はこれをこう読みました! という話を好んでする。できるだけ、何をどう読んだかだけを話していたい。それがいちばん楽しいから。これは制作者を前にすると、僕はあなたをこう読みました! になって本人を前にずけずけと本人の作品を評するようなことになる。しかもこれは狭義の作品を作らないような奥さんや友人たちにも適用されるところがあって、僕はすぐに、あなたはこういうところがすてき、あなたの考え方はこんな可笑しなところがある、などと読みたがるから、人によっては嫌で仕方がないと思う。僕はつねに熱烈に評したくなるものを求めている。そして熱烈に評す。評するというのはえらそうな態度である面もあるにはあるが、それ以上にとにかく敬意や親愛の炸裂だ。僕にとってはそう。なんなら僕は自画自賛も趣味だがこれも自分で自分を評しているという感じがある。この日記もそんな感じかもしれない。

こんどこそ月曜日なのでジャンプを読みながら通勤。週末の天気予報がスリリング。日記祭は雨が降ったら中止だったはずだから、どうにか晴れてほしい。晴れないと本が売れない!

そろそろ新刊が31箱もくる。予約分と日記祭への送り込みで20箱ちかくはすぐに出ていくにしても、まだ10箱以上は家に在庫として残ることになるわけだ。予約がもう少し入って、ほとんどぜんぶそれでなくなってしまえば安心なのだがそれはそれでつまらないし、日記祭後にもっと各書店への営業をがんばるくらいがちょうどよく楽しい気もする。そういえばそろそろ五月の文フリに向けて『会社員の哲学』の入稿も考え始めないといけない。こちらは思い切った部数をいきなり刷りたいが、場所がなければそれも難しい。ヒリヒリするなあ。楽しい。

身体感覚として、僕は隣り合うということが親密さを要請する事態であることがわかってきた。電車が嫌いなのも、狭苦しい事務所が嫌いなのも、好きでもない人がずっと隣にいるというのが嫌みたい。すごく疲れてしまう。奥さんが隣にいるのは大丈夫だけれど、これは奥さんが好きだからなのか、奥さんが小さいからなのかははっきりしない。小柄な人の隣であれば疲れないのだろうか。やってみないとわからない。ゴールデン街で飲んだ時はむしろ隣り合うという緊張感がほどよく作用していた気もするし、まだまだ隣り合うことについての自己探求は始まったばかりである。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。