不思議なほど起きれず、奥さんとふたりでぬくぬくといつまでもお布団にいた。仕事もしなくてはいけないので困った。午前中にはなんとか起き出して労働を始めるがどうにもならず、長めのお散歩を行う。ついでに夕飯の買い出しも済ませる。お昼は好物のトマトとチーズのそうめんを作ってもらう。いくら寝ても寝足りず、お昼寝もしっかりとった。
明日には31箱の在庫が来る。事前に予約を受け付けてくれている店舗の初回納品数の確定は明日でお願いしているから確定が明日にならないとできないところもあるけれど、大勢は把握できている。受注管理のスプレッドシートをもとに確定できるものについては納品書を書いてしまったり、同送する既刊の準備をしたりするべきだった。既刊も増刷していてこれは明々後日の金曜日に来るからこれを待つかどうかも判断が必要だ。僕はこうしたタスクをひとつひとつの具体的な作業に分解して備えておいたらどれだけ心丈夫だっただろうか。じっさいの僕はようやく眠気と労働を追い払ったと思ったら、五月に出す『会社員の哲学 増補版』の組版をずっとやっていた。なぜいま。すごくすっきりよみやすく出来たと思うので満足であるが、しかし、なぜいまなのだ。僕は手を動かして形を作る喜びと嬉しさでにこやかであるが、本が来るというタイミングで本を増やす作業をちゃきちゃき進めているのだから変だ。そうでなく、在庫の捌きを備えるべきだった。人間の愚かさというのはずいぶんと奇妙であることだ。
夕食前にはBBC が撮ったタコのドキュメンタリーを見てタコって変だなと思った。肌の色がくるくる変わって、心臓が三つあって、青い血が流れていて、腸が脳と直結していて、腕がそれぞれに思考する。『タコの心身問題』も面白かった。読んでいる時にたこ焼きを食べて微妙な気持ちになったことを思い出す。たこ焼きは今でも好きなのだが。夜はアイリッシュシチューとなんちゃってたいめいけんサラダ。どちらもとても美味。もりもり食べる。タコの傑作な箇所を奥さんにも押し付けるようにして見せる。
奥さんは労働の合間にきょうの食事の準備まで手際よく済ませていただけでなく、お風呂上がりに僕がすべきであった出荷の準備までほとんど終わらせていて、僕は本を作るのに夢中でなにも気がついていなかった。すべてはできあがっていたのだ。じぶんが愚図に思えるということはなく、奥さんはすごいなあ、すごく好き、と現金なことを思う。
先月末から三日おきくらいのペースで『違う冬のぼくら』を遊んでる。二人で遊ぶゲームで奥さんと進めているのだが、だんだんこんなに違う冬なの、というくらい違った景色を見せられて、なんなら片方はじっと同じ狭苦しい景色を見せつけられ続けてもう片方の指示に従って手探りで操作するしかないというような時間さえあって、なんというかプレイの負担の偏りがすごい。僕は動物さんの世界にいるのだが途中で耐えられなくなって奥さんとパソコンを交換して機械の国に移ったが、そうすると今度は機械の国から指示を飛ばすことになってけっきょく頭が疲れる。お互いへろへろで集中力がなくなって凡ミスを繰り返したりして、とうとうどうすればいいのかわからなくなったのでおしまいにする。もう日付が変わってる。明日は起きれるといいな。というか、うっかり寝過ごして31箱受け取り損ねたらことだ。
