午前中には起きれてそれは快挙。今週のフヅクエの日記を布団の中で読む。浴槽を洗ってお湯を溜めてだらだら浸かる。お風呂に入っている時、お風呂に入っているという行為がすでにあるので、スマホをだらだらいじっていても罪悪感がないのがいい。水筒まで持ち込んだので脱水対策も完璧で、よくよく汗をかいた。昼前ごろ出て、きょうはなんかデートしたいね、という気分で一致していたので神保町か下北沢かという検討がなされ、今日はなんかBONUS TRACK ではお祭りをやっているらしい。そこにはfuzkue も外にブースを出していて、たぶんチーズケーキもある。fuzkue のチーズケーキはいちばんおいしいチーズケーキで奥さんにも食べてみて欲しい。しかし奥さんは僕ほど熱心に読書をするわけではないので、チーズケーキのために三時間も四時間も本を読んでいるのもどうなんだろうと思い続けていた。しかし外で食べられるのなら合法的に奥さんときゃっきゃしながらあのチーズケーキが食べられる、ということで下北沢が優勢だったが問題はほんとうにチーズケーキがあるのかということだった。過去の出店写真を探し出して確認したところ、短冊型のメニューには確かにチーズケーキとある。しかもとってもおいしいジントニックもある。この前fuzkue でジントニックをお願いしたら、どのジントニックにしますかと訊かれて、とってもおいしいやつを、と応えたことを愉快に思い出す。それで、たぶんあるだろうとのことで出かけて行った。車中はアーレント。
下北沢に着くと賑わっており、みんなBONUS TRACK に向かっていたのでこれはみなチーズケーキを求めて歩いているに違いないと二人は思った。ブースに着くと阿久津さんがくしゃっとした笑顔で迎えてくれて、わ、もしかして奥さん、なんか読んでて知っている人にお会いするといる〜ってなりますね、みたいにニコニコしていて、それはとてもよくわかった。「遊ちゃん」の実在を確かめた時、僕もいる〜とニコニコになった。チーズケーキとショートブレッドととってもおいしいジントニックとコーヒーをお願いして、ちょうど空いた広場のテーブルで待ちながら、ぽかぽかした陽気で、すっかりいい休日だ。チーズケーキがやってきて、あ、フォークもう一個持ってきますね、と気配りが鮮やかだった。一口食べて奥さんは目をまん丸にした。おいしいねえ、と言い合いながら食べる。ふだんはこの美味しさを前に、黙ってなきゃいけないんでしょ、ただ静かに美味に震えているわけだ、と奥さんは言って、いい物言いだった。ふだんは独り占めの贅沢だったけれど、こうして好きな人とうれしさを分かち合いながら食べるのもまたいいものだった。ジントニックもとってもおいしくて、奥さんはおいしい、ローズマリーの威勢がいい、猫が全力で嫌がりそう、と謎のコメントをこぼすくらいには嬉しそう。もちろん猫が嫌がることが嬉しいわけではない。そんな猫の不幸を喜ぶような人とこんなふうにおいしさを喜び合えるはずがない。いい音楽、ほどよい気候、ほどよい賑わい。外で飲むのはいいねえ、と二人は満足していた。そこにカフェアレンジの「N.O.」が流れてきて、すごいな、カフェアレンジされてると知ったら本人が苦虫を噛み潰しそうな曲選手権第一位じゃん、と面白がる。絶対いまカーテンがいい感じの風に揺れてるだろ、花瓶なんて売るほど持ってるだろ、というアレンジだった。しかしこうして聴くと改めていい歌だな。
日記屋月日で『恥ずかしい料理』の制作日記を求め、写真を撮らせてもらう。B&B が入場待ちだったので先にBOOKSHOP TRAVELLER に行って、戻るとまだまだ盛況で、きょうはB&B は17時までとのことでギリギリだった。閉店15分前にようやく入れたので、先に挨拶をして写真を撮らせてもらい、あわあわと『猫がこなくなった』を探すが、まだきていないのか、こなくなったのか、まだなかったので、あわあわとしていると奥さんがふざけて腕時計をトントンと叩いて急かす仕草をするので楽しくなった。結局決めきれず、買いそうで買っていなかったSPECTATOR の土のやつをレジに持って行ってちょうど17時。満足して帰る。笠井さんや高松さんや橋本さんや、一方的にあるいは微かに知っている方々に挨拶し損ねたな、と思う。しかし別に人々と挨拶しにきたわけでもない。こういうとき自分の驚くべき社交性のなさを思い知る。チーズケーキを食べている間に武田さんがこんにちはと声をかけてくれて、武田さんのマスクが格好よかった。あれはどこのマスクだろう。あれ欲しいな、と後で奥さんと話していた。あとは阿久津さんと一緒にKID FRESINO とおしゃべりしたことを羨ましがった。
猫は近所の本屋にきていたので安心して買って帰った。