2023.07.08

妙に早起き。八時前には起き出して、原稿を直していた。酵母が暴れてるみたいなものを書きたいから、推敲ではいかに筋を通さないままにしておくか、綻びを残しておくか、矛盾を放置しておくか、飛躍が突飛のないもののままであるかに心を砕く。気をつけないとしっかり直しちゃう。瓶詰めした後も発酵が進行するような野蛮なものをつくりたかったら、掃除をしっかりするとか、ほったらかしておいても大丈夫だと思えるような環境を整える作業はものすごく丁寧に行わなくてはただ腐っていくだけなので、ただ無闇に雑にやればいいというものではない。ダメになったものを臭うままにしているのではないかという不安と戦わないで済むようにしっかり準備しておくのが大事。ちゃんと基礎を用意して、どうあれ台無しにすることはないだろうと自分を信頼できるようになったところで、存分に暴れてぜんぶひっくり返す。読んだほうがよさそうな本はしっかり読み込み、自分のなかで一定の理路を保った文脈を形成したのちに、ほとんどすべて無視してわっと書いてしまう。そういう方法を今回はより意識的にとっていて、暴れをコントロールするというのはたいへん面倒で面白いことだなと考えている。ある程度めどがついたところで眠くなってきちゃった。もう十時前だ。困ったな。

新宿まで一緒に出て、奥さんはお芝居を観に、僕は一斗缶のビリヤニを食べに。手土産に持って行った日本酒をうれしく飲んでいたのは覚えているのだけれど、ワインを開けはじめたあたりから時間感覚がだぶぼやけて気がついたらレンタルスペースを撤収していて磯丸水産でにこにこビールを飲みながらエーステを布教しようとして失敗していた。13時開始で、ほとんど面識もなければ共通の話題もあるのかわからないような人たちがビリヤニ欲しさに集まっていてはじめはぎこちなかったが酔っ払ってしまえばこっちのものだ。けっきょく楽しく飲み食い喋ってふわふわと21時過ぎ。なかよくなれてうれしい。へらへらしながら解散してコンビニでラーメン買って帰って、奥さんもキッチンドリンクでごきげんで、二人してぺろんぺろんでエーステのサントラを流しながら大きな声で歌って眠くなったので寝るのだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。