この日は悪く酔っ払ったのでさっさと寝た。三つだか台風もあるらしいし、久しぶりに出社で体力も削げていたから、飲んではいけない日だったのだろう。奥さんが試験に合格したので打ち上げだったが、僕はのっけからへろへろしていたし、瓶一本飲んで一層へにゃへにゃなので奥さんはつまらなかったろう。立ち飲みだと身長差で声が届かない。そうでなくとも二人とも耳があちこちに拡散しがちで、天井の低い飲み屋ではお互いの話よりも周りの会話のほうが入ってきてうまく話せない。ふだん何を喋っているのだっけ、ということすらわからなくなって、黙々と飲み食いすることも多い。それでもあずきバーを買って家まで歩き出すと僕はよく喋る。歩いている時がいちばん楽しい気分だし話したいこともあれこれと出てくる。歩きながら酒を飲めばいいのではないか。帰ってシャワーを浴びると飲みたい気分になってきて、日焼け止めで肌がべたべたしているとそれだけでぐったりしてしまうというのもあったかもしれない。寝る段になってもおしゃべりは止まず、王女と王妃と姫のちがいについて推測を巡らせたりした。西洋的な王政のない日本語に翻訳するさいにいったい何が起こったか、そんなことを気にしながら眠った。
