文学フリマ福岡の出展案内が届いていて、送り込みのスケジュールなどを確認してから改めてスケジュールを引き直してみると、どうもあと一週間しかないらしい。作りたい形からすると四万文字くらいかなという目算で、まだ一文字も書いていない。これは流石にもう無理かもしれないが、いちおうやってみる。今回は映画『ベイブ』についての本で、U-NEXT で『ベイブ』を0.6倍速で再生しながら、各シーンの概要をメモ程度にざっと書いていく。この作業をあと一回は繰り返して、描写の精度を上げていきたい。『ベイブ』について書くために、映画を文章に置き換えるということから始めなくてはいけない。これをぜんぶ使うかどうかは微妙だが、書く筋肉を鍛えるにはいいトレーニングであると思うし、今回は画面から志向するというのをなるべくやったうえで、文字だけで飛躍させていきたいと考えている。三時間かけて、ひとまず素材となる文字が一万字ほどできあがった。あいまに圧力鍋で肉じゃがもつくった。疲れた。
奥さんはきょう大きな病院で検査をして、盲腸ではないけどおなかのあたりになんかありそうということで、胃腸を休めるために急遽あすいっぱいまで絶食だそうだ。肉じゃがは昼にすこし僕が一人で食べただけで、残りはぜんぶタッパーに直行となった。出かける用事があったので奥さんとすれ違いで外に出る。ちょうど駅までの道の半分くらいのところで奥さんと出くわして検査結果などを詳しくきいて分かれる。重たいスポーツドリンクの大容量のやつをスーパーで買って帰ると約束する。慣れないスーパーでは毎回うまく探し物ができずにぐったりする。あまり好きなスーパーではない。匂いを見せびらかしながら食べるのもなんだから、ファミレスで夕食も済ませてしまう。侘しい気持ち。文字書く元気が残っていないのは、しかし天気のせいでもスーパーのせいでもファミレスのせいでもなく、ほかの原稿をたくさん書いたからに他ならないのかといえばそうでもなく、僕は日記は漫画家の落書きみたいなもので、気晴らしとして文字を置き散らかしている感覚があるから、文字書くのがいやになるからこそ文字書くところがなくはないのだが、しかしやはりきょうはさすがに文字に膿んでいるといえなくもない。納品した小説にまずまず好評な返信があって、とても嬉しかった。これまで散文を書くさいに小説を選択する頭はなかったけれど、いったん書いてしまえばこれもかなり楽しいものだなとわかる。すでにまた書きたい。書いてみようかしら。まずは『ベイブ』なのだが。考えて書くのや、書きながら考えるのはつい食べてしまうおやつみたいなものだが、見て書くというのはかなり面倒でくたびれるものである。『ベイブ』も小説もそうで、しかしだからこその面白味がある。
日記をあらかた書いたあと、表紙データを制作する。慣れたもので三十分くらいでできあがる。形が見えてくると俄然やる気も湧いてくるものだ。