本を読みたいが読めないという焦りでより一層本が読めないのではないかということをとうとう認めることができたのでひたすら『進撃の巨人』のアニメを観ていた。辛い苦しいもうやめたいと思うのだけど、それは重厚な長編小説の中盤から後半あたりを読むときのしんどさに似ており、つまりはほんとうはすこしも頁をめくる手を止めたくないということで、だから本を読まなくちゃなあという気持ちをぐっと堪えて観たいだけ観てしまった方が中長期的に考えれば本も読めるはずだった。じっさい満足するまで見終えたところで自然に本に手が伸び、あれこれと次の山を作っていく。これからはおそらく一年弱読みかけで放置していた佐々木敦『未知との遭遇』、新刊からは『事務に踊る人々』、古本は兵藤裕己『演じられた近代』の三本立てで、軽い読み物として『生活フォーエバー』とスズキナオさんの新刊、屋根裏本が脇を固める布陣でいく。こうやって併読するデッキを構築していくような時が楽しい。『食の軍師』の弁当攻略みたいなもので、つまりはナンセンスなこだわりであるからこその愉悦だ。
大きな肉団子と餅巾着と青梗菜を放り込んで鍋ひとつで夕食にする。僕は団子を丸々とさせることに、奥さんはお餅をくたくたにすることにこだわりを見せた。食後はお茶を入れてお菓子を食べながら「マジック:ザ・ギャザリング アリーナ」で遊ぶ。きょうは奥さんとフレンドになって対戦。はじめこそボロ負けだったが、後半は負けることが難しいほどだった。もう遊んでもらえないかもしれないが、日記を待っている間も戦略を磨いていたから、あすにはめちゃ強になっているかもしれない。魔法や剣が鎬を削る音の表現に耳を澄ませていたら、いつの間にか果物を膨らませる音が聞こえてくる。そろそろ本物を買いたい。
