午前中は読書会。会場ビルの隣のドラッグストア前に屯している人が手を振っているが、誰かわからなくて振り返しそびれるが近づいてくると受講生仲間だったのでうれしくて小走りで駆け寄る。今年の見通しなどを軽く雑談してから教室へ。三期から参加しているこの会も四期まで完走。懇親会の中華までが楽しみになっているというか、会場につくともうすでに中華の口になっている。きょうはよだれ鷄にするんだ、と決めていた。課題本として千葉雅也を繰り返し読んで、きょうもプロレスのことを考えていた。
プロレスの対立はほとんど社内闘争なのが面白い。ヒールは気持ちいい物語の進行を阻害し観客を不快にするが、誰よりも物語生成の秩序に貢献している。組織のナラティブに忠実なエリート官僚がヒールであり、組織に馴染めない異端こそが正統派とされる。組織内での融通無碍は、ヒールの事務員的態度にこそ支えられている。誰かが生真面目に基礎を整えるからこそ、その上で暴れ回ることができる。結局それはどちらも組織内の論理に回収されるほかないものである。レスラーは安全圏内でのはみ出し者なのであり、ここがサラリーマンの心性に訴えてくる。逸脱はしたいが、あくまでそれは組織の中での話であり、組織への貢献のためにこそアウトローを気取るというような倒錯の投影。飼い慣らされたやんちゃさ。飼い慣らしているのはヒールである。だからやはり会社を牛耳っているのは彼らなのだ。
さて、解散後は水道橋まで歩いて闘魂SHOP を覗いてみる。悪い人たちもしっかりコーナーが設けられていてよかった。有楽町まで出て奥さんと合流。ビールを一杯。奥さんの買い物の続きにくっついていきつつ、伊東屋でインクを買った。緑青のような色のインク。帰りにスーパーで亀を洗うための灯油ポンプ、パスタ、小枝、月餅を買う。奥さんは新調した靴の踵の具合がうまくなくて痛くなってしまう。奥さんの足はそもそも小さくてサイズがなかなかないくせに、さらに踵も華奢だからほんとうに合う靴がない。合う靴がないというのはとても心細いことだと思う。そしてそんな抽象的な印象ではなく、じっさいのところかなり困る。この世は奥さんの小ささを考慮していない。まったく奥さんにとって世の多くが大きすぎて、大量生産の規格から見放されている。よくそれで世を拗ねたようにならず、こうもユーモアとチャーミングを湛えたすてきな人になったものだよね、といつも感動してしまう。すごいね。
