2024.02.22

たくさん寝た。目が覚めてからもうだうだと布団にくるまり、立ち上がらない。立ち上がれなかったのかもしれない。きょうも寒い。また一週間ほどずっと寒くて雨がちだそうだ。起き出してもいいことなんかないような気がする。血みどろの映画を観よう。気が晴れるだろう、そう思い起き出す。奥さんが朝食に作ったサンドイッチを半分のこしておいてくれていて、なんて素敵な人だろうと感激する。コーヒーを飲みながら昨日の残作業を終わらせて、メールをやりとりする。手を動かしていれば気力は湧いてくる。しかし本は読めなさそうだ。きょうのぼくはばかです、なので頭は使えません。そう奥さんにも共有する。さて血みどろの映画を観るぞと思うが、奥さんと話していると夜の打ち合わせに向けてあれこれ考えるべきことが浮かんできてしっかりめに議論する。Affinity Designer を起動して図面に書き込みをしていくことさえ始め、これは夢中になるのでやめられない。気がついたらもう一五時だ。ばかのくせに頭を使ってしまった。今度こそ僕は血みどろになりますと宣言して『Pearl パール』を観る。『X エックス』は佳作だったが、こちらはべらぼうな傑作だ。どこにもいけない『オズの魔法使い』。パールのそれぞれの笑顔が毎回すごい。額に青筋を浮かべた笑顔のすごさ。訥々とした独白の痛さ。危ういバランスでなんとか保たれている均衡。その切迫感が魅力的なビジュアルで飾り付けられている。視野の叙述トリックのような演出もうまく、外の視点が持ち込まれるたびに家の異様さが露わにされる。『MaXXXine』は劇場で観たい。夜は打ち合わせ。終えると二十一時前で、奥さんがさらっと何品も夕食を作ってどれも美味しくて格好よかった。手際のよさも料理の味わいも、とにかく格好いい、あなたはすてき、と褒め称える。お風呂に入って『ダンジョン飯』のアニメを観る。マルシルとファリンの所作の違いで性格を対比する見事な回。輪郭線が細くなり加速するアクションも楽しい。満足した途端に眠たくなる。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。