2024.04.04

図書館にでかけるとき、歩きながらポッドキャストを聴くようにしている。「Image Cast」で知ったArc というブラウザを試してみて一週間くらいが経った。かなりいい感じかもしれない。いちばんの特徴はタブと履歴とお気に入りが一元化されているところ。すべてタブという名称で括られていて、よく使うものは最上部に固定できる。履歴はすべてタブとして管理され原則一日でアーカイブされるので、残しておきたいものはフォルダに振り分けておく。振り分けるさいに複数のサイトを分割画面で一挙に表示できるようにまとめることもできるのも嬉しくて、マストドンとBluesky とツイッターを縦長の画面三連で出すように設定したところどれもさっぱり見る気がしなくなる。タブを積み重ねていくスペース自体も複数用意できる。スペースごとにログイン情報を分け持てるので、柿内名義のGmail のチェックと家のGoogleカレンダーの参照をいちいちアカウントを切り替えないでさくさく行ったり来たりできるも便利。

きょうは本屋B&B に納品に行って、fuzkue で本を読むつもりだった。納品を済ませると店内をじっくり見て回り、『チャイニーズ・タイプライター』と『サバービアの憂鬱』を買う。前者は図書館で借りて読んだのだが、かなり面白かったので手元に置いておきたかった。福田安佐子『ゾンビの美学』もこれはおれが買わずにどうするんだと悩んだが、本体4500円に怯んで見送り。そのくせ買った二冊でも七千円近くするのだから、躊躇ったのは値段だけではないのだろう。たぶん『雑談・オブ・ザ・デッド』を作るなかでここに書かれていることのうち自分が面白がりそうなところはすでにいくつかの本と映画を参照して組み上げているような気がしたのだ。不遜である。当の『雑談・オブ・ザ・デッド』は映画本のコーナーにまだまだあった。同じ棚のいいところに『『ベイブ』論』が面陳してあって、手前には蓮實重彥の新刊などがある。ひゅー。

フヅクエに移動して、キーマカレーとビールで始める。『新たな距離』を読んでいく。あっという間に満席だった。一階の五席のうち二席が年配の男性客で、そのうちの一人が、ずぞぞ、と音を立ててコーヒーを飲むたびに咳払いするのがすこし気になった。静けさを価値とする空間において、中年以上の男性客というのはそれだけでなにか脅かすようになってしまいやすい。すこし気持ちがざわつくが、コーヒーが冷めるにつれ静かになり、集中して文字を追っている気配が濃く立ち上がってきたのですぐに落ち着く。いつも平日に来るのだけれどほとんど貸切みたいな日も多かったから、小さな店内にみちっと人がいて、全員が本を読んでいるようすに感動していた。ただ、襟足の髪が伸びているのが気になりだした。暖かくなって首筋に汗をかいた。それで長くなった髪が気になる。横側の髪もボリュームがありすぎて帽子をかぶるとだらしなく広がってしまうのも内藤哲也みたいでいやだ。切りに行こう、と急に思い立ち、美容院を予約して千代田線で表参道に出る。奥さんとお揃いの店で散髪しているのだが、前髪は自分たちで切ったりもしてしまうので頻度はどんどん遠のいている。伸びましたねえと呆れられる。短くしてもらうと気分がよくて、ずいぶん鬱陶しかったんだなと知れる。せっかくなので青山ブックセンターもひやかすと、千葉雅也の『センスの哲学』が平積みになっている。あれ、もう出るんだっけか。せっかくなので買うことにする。ほかの棚もぶらぶらして、蟹の親子『水筒』が高々と積まれていてわあ、と嬉しくなる。そういえばABC にはZINE の営業をしたことがない。向こうから注文が来たりもしない。親和性は低くないような気がするのでチャレンジしたい。『水筒』は月日によって買えばよかったなと思われ、今日のところは見送り。

駅前のスーパーで買い物をしてから帰る。納品したぶん軽くなったはずなのに、本と野菜とひき肉で重たくなった。とぼとぼと歩いていたら挫けそうだ。帰って鮭を茹で、味噌汁をつくり、きのうの肉豆腐を卵で閉じて丼にする。先日のプロレスをいくつか見てはしゃぎ、「Lost in Play」で遊ぶ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。