朝は成城石井のチーズケーキ。大きなパッケージのやつではなくて、カップのもの。奥さんが買ってきてくれた。目が覚めるような甘さ。このサイズでもほんのひとくち分だけ過剰だった。コーヒーで口を直し、出かけていく。
読書会は前回は岐阜と被っていたから録画で、現地は久々だった。体調不良で酒井講師は急遽欠席で、宮崎さんや大久保さんもいなかったので、登校してみたら仲よくしてくれる友達が休みであったような残念さがある。とはいえお馴染みの顔ぶれを見るだけでなんとなく嬉しいものだし、内容自体の満足度も高かった。これまでひとりで外観するのみであった参加者の提出物をつぶさに吟味していくだけで大きな発見がある。まず、やはり課題というのは自分で手を動かしてやらなければならないということだ。これまで課題を提出せずに済ませていたのは、この会に半分しか参加していないようなものだった。いかに頭を使わずに、手を動かすことで文書を読解するか。ここで目指されているのは読書の事務化なのだろう。感覚で書かれたような文字列を、多分に予断や個体差を含んだ感性で解釈するのではなく、誰にでも使用可能な形にまで敷衍するという態度。その結果あらわれる成果物は、一見して無味乾燥で、違ったらしく、トリビアルな差異に敏感で、読み易さという点ではもとの文書よりも損なわれているようにすら感じる。それでもなお、ある文字列から受け取りうるものを抽出するという行為について、その予測誤差を最小化しようと思えばこうなっていく。直観的な判断を留保し、つぶさに手を動かせというのがこの読書会のひとつの醍醐味であるならば、僕はやはり文書に対して頭と気をつかいすぎなのだろう。
いつもの中華でご飯を食べて、皆と分かれてからは水道橋の方へ歩いていく。闘魂SHOP で奥さんと待ち合わせだった。
奥さんは先に着いていて、エル・デスペラードと筋肉少女帯のコラボステッカーを大事そうに持っていた。僕はさんざん迷った挙句、ジャック・ペリー加入後の現状最新版であるH.O.TのTシャツを買う。きのう録画で見たEVIL と鷹木戦はこれまでの仕込みを惜しみなく投入するフルコースといった趣でたいへん楽しかった。せっかくだし桜を見に行こうかね、と皇居の方へ歩いていく。武道館の近くまで来ると人が多すぎてびびった。これじゃあ人見じゃあねえか、と奥さんがおどけて言う。しかし桜の下にシートを敷いて飲み食いできるわけでもないだろうに、わざわざこんなに人が集まるのか、僕たちのように、せっかく咲いているのならちょっと見ておこう、というような人たちが沢山いるというのはなんだかよかった。一年にほんの数日だけ咲く花を見るためにわざわざ出かけてくるなんて、楽しいことに貪欲な感じがして心強い。よく見ると似合っていないスーツ姿が目立つ。となると、これは入社式か何かか。ずいぶん若く、しかしもう年少のものたちは十把一絡げに幼く見える。よく観察するとそっくりな顔立ちの大人と連れ立っている。親子なのだろう。となると入学式か。奥さんと推論を並べていき、検索してみると明治大学の入学式だとわかった。そりゃ人数も多いわけだ。花見の行列ではなかった。人混みを避けるために九段下会館の裏手を歩いて遠目に桜を眺める。観光案内所に謎解きキットがあって、遊んでみることにする。クリアを目指しているわけでもないから解けそうなところだけつまむ。靖国神社が近そうだった。はじめて行くような気がする。近くは通ったことがあり、それは祝日だったから鳥肌実みたいな車と人が集合していた。桜の陶板が謎解きの鍵だった。これは都道府県それぞれの土を焼いているらしい。戦地から採ってきた石というのも並んでいる。英霊という言葉の語義が軽率なゲーム作家によって上書きされてしまったことを考える。僕はそれをそこまで悪いこととも思っていない。国家などという得体の知れないものに勝手に祀り上げられるくらいなら、私企業に利益をもたらす美少女画として玩具にされたほうがマシだと思う。お腹が空いたので謎解きは仕舞いにして、ふたたび神保町へと歩き出す。蛸正で立ち飲み。たこ焼きは木の芽味噌と金柑にして、赤星をひと瓶飲む。立ち飲みって好きだな。飲み屋の椅子が嫌いなのかも知れないけれど。酔ってきたとき好きに姿勢を試せるのがいい。満足したけれどまだ外は明るい。腹ごなしに秋葉原まで歩いて、さすがに足が痛くなってくる。MAACH のトイレを借りて、駅前のアダルトショップの向かいのスタバで休憩する。カウンター席から、コンドームのVTuberを眺めていた。
家に帰ってお風呂に入って、辻の勇姿を見届けて録音。お茶漬けを食べて眠る。
