朝から具合が悪かった。奥さんも寝れていなくて絶不調ですと全身で訴えかけていたので、朝食を雑に用意くらいはするが、いちにち甲斐甲斐しく面倒を見るというのは無理そうだ。きょうはマチネだけみて深追いせずに帰ろうと思うが、どうせ観劇後は元気が出てしまうのだろうなとも諦めている。木曜に見たエーステの二度目を、日曜にもう観に行く。こんなに間が空いていないのは初めてだった。
やっぱり芝居はよくて、ただきょうは配信もあったからか、多くの俳優が置きに行く演技であったとは感じた。僕は日替わりでアドリブを入れることで繰り返し観る人にサービスするという文化が、楽しいは楽しいけれど全体のリズムを著しく崩すことも少なくないのであまり好きではないのだが、ないとないで物足りなくもある。あと気がついたこととして、その日限りの冒頭でなくても、ボケの後にリズムがよたつくのは変わらなかった。これまではボケる側が暴投するあまり間延びするのかと感じていたが、そもそも受ける側がどうあれ決められた動作へと引き戻すところの継ぎ目が目立つということで、アドリブかどうかにかかわらずボケが淀みなさを阻害する、そしてそれが悪いわけでもなくて、時折ぶつっと注意を瞬断されるからこそ三時間もつというところもある。だから転換点が丸見えであることにも効果がある。どちらにせよ違和感があるのであれば日替わりでどんどんふざけたほうがいいと考えなおした。だから、日替わりのネタが少なかったのはやっぱりすこし残念だった。前回は第1バルコニーからアリーナ席を見渡せて、客席まで広く使う空間を一望できたのがよかった。今回はアリーナ席で、だから客席での演技はあまり見えないのだが、一度目の記憶で補完できるし、舞台が近いから表情やディティールがよく見える。二度観る席の順番として、非常によかった。繰り返し観るということを考える。そうすれば内容よりも方法に、意味よりも構造に意識が向く。繰り返し読むことも、繰り返し書くことも、注意の質を変える。同じことを飽きずに反復することからしか、見たり読んだりすることは鍛えられないのではないかと最近よく考える。一度目はざっくりと全体を捉えるように。二度目からは部分を注視して、全体像を揺さぶるような過剰を探してみる。
お腹がすいたのでジンギスカンを食べて、野球帰りの混雑を嫌って神保町まで歩き、さらには秋葉原まで歩き、ビルの中庭には山桜がぽんぽん花をつけていた。そのころにはくしゃみが止まらず、悪寒がし、目もしょぼしょぼだったので何も考えられなくなっていて、帰ればいいのにヨドバシカメラであれこれ見繕うのだが僕はなにも見ていなかった。次第にひゃっくりが止まらなくなり、どんどん疲弊していった。やっと帰れて、寝込む。二一時過ぎに起き出して、文芸誌をすこし読み、録音をし、お風呂に入って寝た。いくらでも眠ることができる。疲れている。