二度目となるとTBSラジオの通用口からスタジオまでの動線もスムースだ。前回は岐阜で本を売ってからの参加で、それと較べれば体も楽だ。打ち合わせを終え、ぬるっと放送開始。今回のテーマは「マイクロでオルタナティブでインディペンデントなあれこれ」。予告編を聴いた時点で考えていたのは、「インディペンデント」という言葉が諸悪の根源なのではないかということだ。そもそも現在有効でありえる「マイクロ」で「オルタナティブ」な実践とは、長谷川さんも予告編で示唆されていたように物流やメディアなどの大企業の整備したインフラやプラットフォームへの依存を前提としている。この依存を等閑視して「インディペンデント」であることを謳うというのは欺瞞ではないか。「インディペンデント」で食っていくにはある程度の売上が必要で、売上やインプレッションなどの数値を求めるのであれば、そこには規模が要請される。速水さんや工藤さんのご指摘にあったように、知ってさえもらえれば好きになってもらえそうな層を取りこぼさないためにもある程度の規模が必要。手売りやインディーレーベルでは届かない層に届けるために、メジャーなレーベルと協業することは、実態として「インディペンデント」ではないかもしれないけれども、継続的な活動のためには効果のある戦術なのかもしれない。
「マイクロ」で「オルタナティブ」な実践を確保するために、昼間は企業で働いてまとまった金銭と福祉を確保するという僕の態度は、「インディペンデント」という観点では中途半端で欺瞞に満ちているわけだが、むしろ徹底して「インディペンデント」たれという規範意識が、活動と生計を密接させ、資本主義的な価値観からの独立性を損ね、身動きを不自由にしている気がしてならない。そのようなことを、「マイクロ」な売文家として文フリに抱く所感も交えつつ話せばいいかなと考えていたのだけれど、事務話とくらべるとそこまで確固とした主張があるわけでもなく、お便りや皆さんの発言に流されるようにしてあれこれおしゃべりした。なぜか三時までだと思い込んでいて、ちがった四時までか、と勝手にゴールをズラされたような疲労があった。本放送後、番外編で最後の最後に読まれたメールに感極まり、ついつい熱くなる。出てよかったな。
スタジオを出るとすっかり日が登っており、人の流れに逆らうように帰路に着く。新居へのはじめての朝帰り。昼まで寝て、在宅で労働。合間に昼寝もする。夕方だったが。細切れに寝ることでたっぷり寝て取り戻した余裕や可愛げをキープしたかった。そう、きのうは夜明かしに備えて昼まで寝たら、てきめんに頭が冴えて気分がよくなったのだった。引越し前後からずっと頭が濁っていたのが、がっつり寝るだけでこんなにも晴れやかなのかと、もう何度目かわからない驚きがある。このいい状態をあっさりとダメにしてしまうのは惜しい。夕食までの時間も眠り、お風呂にゆっくり浸かり、日記をさくっと書いてまた眠る。あすはそこそこの早起き。