2021.03.01(2-p.16)

きょうは休みだったが、ここ半月くらい脳のメモリを圧迫している『CCC』を終わらせてしまおう、と桜ルートを猛然と進めたが結局夕方までかかってしまって一日を台無しにしてしまった。本を読んで一日が終わってもこういう気持ちにはならないのにゲームではなるのは内面化した社会規範によるものというよりも、ゲームの方がこちらを受動的にすると言うか、光るし、動くし、アディクションへの導線設計の完成度が紙の本よりもずっと高く、だからこそ、自分での意思というよりも、もう少し強いられて、とまではいかないがナッジされてる、設計通りに動かされてる感じが強く、要は主体性をあまり感じられないからだろう。特にこういうテキスト主体のゲームは本に似ているくせに本じゃないというか読み方が不可逆で不自由だから余計に感じるのかもしれないし、本に似ているからこそこうも没頭してしまったのだろうと思う。

昼はいただきもののちりめん山椒でパスタを作る。オリーブオイルにニンニクと鷹の爪の匂いを移して、それで半分は炒めて、半分はパスタと絡めた後にそのまま混ぜ込んで、非常に美味しくできた。コクがある、と思い、コクっていいよな、と気が付く。コクの明確な定義がわからないがあえて調べずに書くと、なんというかまろやかな旨味みたいな感じなのだが、旨味とはやはり明確に違って、コクとしかいいようのないものがある。コクのあるものが好きだな、となぜか今になってはっきりと自覚したのだが、それと同時にコクというものへの解像度がここまで曖昧だったのか、と驚く。コクってなに?

夜は失敗した。奥さんの体調が悪そうだったからさっぱりめで、と思い、蒸し野菜とエビを包み込んだ肉団子を作ろうと思って、肉団子はラップに包んで丸めてレンジでいいやと思っていたのにラップが見当たらず、じゃあこれも蒸し器でいいかと思うも蒸し器が小さくて、無理やり詰めた後にラップが見つかった。慌ててレンジに移すも肉汁が溢れて下の鍋に溢れたのがよくなかった。そもそも水を入れた鍋が小さくて、うかうかしているあいだに中身が蒸発しきって黒焦げになっていた。空焚きだけならまだしも肉汁でしっかり焦げた。野菜の蒸しも中途半端で、食べているあいだ虫になった気持ちになって落ち込んだ。僕が愚図なためにみんなを虫にしてしまった。虫はそれ自体悪くはないが。

しょんぼりしていると、なんだか健気だね、みたいな慰めと言うよりは馬鹿にすることを奥さんがして、それで救われるようだった。

試しにAmazon のページを見にいくと書影も内容ももう出ていて、お、と確認すると確かに自分の名前があった。これまでずっと、本当だろうか、という気持ちがあったのだけど、どうやら本当らしい。すごいなあ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。