服からおいしそうなにおいがする。きのうは退勤後に奥さんと待ち合わせをしてジンギスカンを食べた。塩漬け熟成肉みたいなやつが、期待していなかったけれどかなりおいしかった。家から一緒に出るのでなくて、外で待ち合わせをしてごはんに行くというのも久しぶりで、職場から奥さんに連絡して約束をするのも楽しかった。ずいぶん楽しみな気持ちでお店に向かった。味はぼちぼちで充分だなとあまり期待はしていなかった。とにかく外で待ち合わせて飲み食いするという状況自体の嬉しさに浮かれた。それで肉もおいしかったのだからこれほどいいことはない。浮かれて成城石井で安い赤ワインを買って、家でホットワインにして飲む。うっすら頭が痛くなる。けさはもうそうした頭痛もなくなり、よかった。
奥さんはレッスンに出かける。そのまま買い物などもしてくる。僕はひたすら文芸誌掲載の単発エッセイを読み続ける。猫はずっと窓辺で眠っていて、きょうはあまり構ってくれない。ちなみに本にはあまり関心を示さないのだが、『群像』だけは読んでいる時にしてパンチを繰り出したり、噛み付いてみたりする。かさかさした紙質が楽しいのかもしれない。途中でフライパンに豚キムチをつくってフライパンからぜんぶ食べる。不意に気になって「名探偵津田」を見ると面白くてあははと笑う。過去のシリーズも遡って見てしまう。テレビ番組は久しぶりだった。やらなくてはいけないことを放り出してみるテレビって面白いな。すっかり夕方だけれど、気を取り直してエッセイを読む。ひとつひとつは短いのだが、どうにも時間がかかる。量と時間とがどうにも納得がいかないが、エッセイというのは書き出ししかない。だから、個々の書き方や読み方のモードに調律しているあいだに終わるから、時間をかけて読むところしかなく、体を文字列の機序に馴染ませたあとの読み易さがないままに次の調律が始まる。それで遅くなるのだと思う。とりあえず全部読む。ちょうど奥さんが帰ってくる。思ったよりも夜だ。とにかく終わってよかった。使えそうなものと素朴に面白かったものに付箋をつけて、使わなそうなものは本棚の所定の位置に、使いそうなものは棚のソファからすぐに確認できるスペースに挿す。
ケンタッキーを買ってきてくれたので一緒に食べる。お風呂。小腹が空いたので冷蔵庫の副菜を小皿に並べて、お酒を飲みながらちょっとずつやる。テレビの面白かったところを一緒に見る。猫のご飯の量が難しい。少な過ぎたようなので増やしたら、今度は次のご飯までの間に食べきれないようだった。水はたくさん飲んで、飲み過ぎということはなさそうだった。むしろちゃんと飲んで安心。ぱっちりと目を開けたまま寝ていて、黒目がまんまるくなっているのに動かず、瞳孔が開いているように見えるので不安だった。つい声をかけてしまったが、熟睡している証なのでへたに起こさないこと、と検索したら出てきて、しまったことだった。
