2025.01.21

今朝も七時起き。『HYPERTEXT』読みつつ、十分くらい食後の猫の運動につきあってから、風呂場の暖房をつけて、コーヒーを淹れて簡単な朝食。それからシャワーを浴びて、バドミントンの筋肉痛が昨日からひどいので五分だけ湯にも浸かる。それから家を出ると、体がぽかぽかでいい感じだった。湯冷めを心配したけれど、きちんと着込めば大丈夫そう。汗をだばだばかくほどではない。

『HYPERTEXT』は終盤に差し掛かり、凄みを増している。複数のストーリーが細切れにされ、あいまに別のストーリーのこれまた断片が挿入されていく。それらを順番に追いかけていくと、いつしか複数のそれらが有機的に「繋がって」いく、それこそパラノイアめいた事態をシミュレーションするような読書体験なのだが、ストーリー間の時系列は巧妙に前後させられているのに対し、ストーリー単体についてはほぼ通時的に語られることによって、「あのときのあいつがここにも!」だとか「これがあれに繋がるのか!」という愉悦はあれど、事実の因果関係を恣意的に切り貼りし、不合理で面白い与太話をでっちあげるようなことは周到に回避していることがいよいよ明らかになる。すごい。陰謀論を準備したカウンターカルチャーの人間関係の網目を丁寧に描き出しつつ、その網目の結び目が次々と顕わになるたびに読者をあっと驚かせ、ある言説や気分の形成過程に詳しくさせつつ、同時に巷に跋扈する陰謀論の成立していなさを暴き立ててもいる。何か大きな出来事が起こるとき、そこに至る文脈がある。それらを掘り起こしていく作業の楽しさを十全に満足させながら、ありもしないものを探し当ててしまう危険をもできるかぎり解呪しようと心を砕く。歴史を点検し、学ぶことは、それらを修正することでは決してなく、むしろそのような野卑な安直さにゆがめられた実像を修復するような営みなのであると体現している。インスタントに消費されがちな言説に、豊かなコンテキストを取り戻す。見事な仕事だと思う。

お昼。自分で好きなおかずを取っていくタイプの食堂で、鯖の塩焼き、唐揚げおろしポン酢、カツ煮、梅干しと豪勢に選んでいて、ばかの献立だな、と思う。

電車で、目の前に座る学ランの高校生の男の子ふたり組が、有線イヤホンを片っぽずつ分け合って音楽を聴いている。かわいい。 よく見ると、この車両のこのブロックに乗る人のうち有線イヤホンを使っている人がほかにも五、六人いる。ワイヤレスを使っているのは僕含め三人だけだ。しかも僕以外の二人は無線ではあるけれどヘッドホン。なんか、イヤホンは有線みたいな流れ来てる?

退勤後、ソファで仮眠をとっていると猫が胸の上に乗ってくる。尻尾をピンと立てて、ふぐりとお尻の穴を見せつけてくる。眺めていると、不意に腰を下ろすものだから、どちらかの穴が鼻先めがけて追突してきた。とても臭い。まるでナイトメア。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。