二人ともねぼすけ。毎朝しっかり鳴きつづけて人を起こすルドンも、きょうばかりは呆れ果て、諦めて窓辺の定位置で不貞寝していた。待ちぼうけをくらうと、ようやく顔を見せた人にニャアと抗議の一言をかけてくるものだけれど、それもなく、しょげしょげと瞼を半分閉じていて、むしろ申し訳なさが募る。
午前中にスーパーに行き、帰ってくると玄関がヤニくさい。電気のアンペアを上げてもらう工事に来た人が、かなり感じがいいのだけれどとにかくヤニ臭く、廊下から配電盤のある脱衣所まで、昔ながらの喫茶店のような臭いになってしまう。二階から空気清浄機をおろしてフルパワーで稼働させる。加湿機能のポケットに水が溜まっていて階段が水浸しになる。お昼には義母が猫に会いにきてくれる。近所にお友達が住んでいるということで、そのついででもあった。ひとしきり猫に構い、お昼を一緒に食べたあと、さくっと待ち合わせの喫茶店へと向かっていく。
いぬのせなか座で買った笠井康平『さみしがりな恋人たちの履歴と送信』が届いていて、物質としてかなり愛らしく、格好いい本だ。読むのが楽しみ。新刊に合わせてTシャツやポストカードの入稿を済ます。
思ったよりも時間が空いたので、すでに陽が橙色になっているなか市川まで遊びにいくことにする。駅ビルで本の催しがあって、岸波さんや関口さん、柳沼さんに平林さんに仲俣さんもいる。あれこれおしゃべりしつつ、けっこう買う。そのままずっと行ってみたかった甲羅文庫にも行く。外観は、京都にあったころのカライモブックスや、福岡の月と犬に通じる雰囲気があって、もう好きだった。中は畳敷きで、横浜にあった喫茶へそまがりのような居心地のよさ、とにかくこれまでに遭遇した好きな空間のエッセンスを濃厚に感じつつ、もちろん初めて見る場所でもあり、いい棚だった。亀がたくさんあるのがいい。ここでもあれこれ買う。まだ明るい。なんだかんだで陽が長くなっている。
電車では『ディスコ探偵水曜日』を読む。おもしろ。べにあかくんでお茶して、夕食は餃子。『メダリスト』を見ながらタネを作り泣く。包み泣く。焼く頃には見終えていた。五十個作ってぜんぶ食べた。満腹。餃子の時って餃子しか食べれない。