2025.03.10

朝の読書はあきらめて、家出るぎりぎりまで寝る。それでも寝不足。愚かだ。コンビニで給餌しながら歩く。電車に乗って本読む。今日は絶対に早退してやろうと思っていたが、認めたくないが、だんだんと覚醒してくるにつれてやれる感じがやってくる。動くと、もっと動ける。疲れるが、元気である。人は動物だから、疲れながら動き続けていたほうが疲れない。疲れたからといって、動かないでいるとむしろ疲れは取れない。疲れているときにこそもっと疲れそうなことをしたほうが疲れない。それが真理だ。たいへん残念なことに、眠たい体に鞭打って出勤した日のほうが元気である。だから、起床が億劫な日こそ無理やり起きて家を出るべきだ。なんだよそれ、めっちゃ嫌なんだけど! でもじっさい、なんかけっこう調子上がってきてんですけど!

昨晩の録音でも話したし、僕はずっと同じようなことを愚図愚図言ってるきがするのだけれど、アフタートークやラジオなど、別に僕の話を聞きにきたわけではない人の前でかなり限られた時間なにかを話すようなとき、一分足らずで済ますことのできる簡便な自己紹介を決めておくべきなのであろうが、自分でも柿内という存在しない名前の誰かに対して「お前誰だよ」と思ってるからなかなかうまくできない。ペンネームとか芸名って変だと思う。恥ずかしい。何それって感じ。この感じに馴れてはいけないという予感は常に強くある。だからいつも恥ずかしい。自己紹介ができないで、へらへらもごもごしてしまう。より恥知らずっぽい振る舞いだ。

めっちゃ楽しみにしてたのに、昨年夏の引っ越しのバタバタで発売を見逃してた『セーフセックス』の三巻をやっと買う。早く読みたいけれど、さすがに外では読めない。清風堂書店で買えなかったアラレちゃんの一から三巻も買う。Blueskyで「すんげ〜変な味だけど口内に革命が起きるという歯磨き粉」と紹介されていたクリーンデンタル トータルケアを買う。あるはずのところにドラッグストアがなくてびっくりした。いつの間にか景色がずいぶん変わってる。ドラッグストアが減ってる。昼休みにさっそく歯磨き。思ったよりふつうの味だけれど革命はまずまず起きた。これはたしかにいいかも。あしたは記念日ディナーの予定で、とびきり楽しみだった。だから口内環境を万全にしておきたい。

気がつけば、来月引き落としのカードの使用額が十万を超えている。これは月のお小遣いの倍以上である。Suicaへオートチャージする用のカードも二万近くいきそうで、どうして個人口座のやりくりが破綻していないのか不思議だ。というか今見たら去年の夏からお小遣いの範疇に収まっていた月が一度もない。十万を超えていたのも一度ではなかった。どうしてこれまで大丈夫だったんだ。本は値段も見ずに買うようになって久しいけれど、ほんとうは全然だめなのかもしれない。普通に買物中毒なのかもしれない。手遅れになる手前なのか、もう手遅れなのか、けっこうやばいかもしれない。いまは本を卸す売上もだいたい回収しているし、臨時収入はない。このままだと破産する。引越し以来、箍が外れているけれど、そろそろ正気に戻らないと家計も危ないのかもしれない。気がついたら、お金が全くなくなているということがあっても驚かない。それほど最近は使うお金に頓着していない。いきなり怖くなってきた。今日も、買いすぎなのではないか。なにやってんだろう。もう家から出ちゃいけない。ちょっとこれから節約を趣味とする。本は月に十冊以上買っちゃだめ。いやいや、十冊も多すぎる。五冊にしなさい。二万だ、それが上限。それでも、自分で家計を見ていた頃からすればものすごい贅沢だ。

CRAZY FEST 、PPVを買って、セミファイナルとメインだけ取り急ぎ見る。奥さんと二人でひょえええ、ふえええ、と高い悲鳴をあげると猫が膝から飛び降り距離を取り、ドン引きした目でこっちを見てくるので、ごめんね、でもまだ叫ぶと思う、と話しかける。じっさい悲鳴は続いた。蛍光灯の破片がリング状に山盛りに積もって、その白い粉に真っ赤な血が染み込んで綺麗だった。血塗れの男たちのばかばかしい悲惨さに笑いながら怖がり元気が出る。デスマッチはいいなあ!

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。