2025.06.19

週末に演劇の本番、週明けも文芸誌の鼎談と、柿内仕事で慌ただしく、賃労働と並行していくことに無理が出てきそうな今週、ようやく休日に辿り着き、脳を休めようと自宅でホラー映画を浴びることにした。手始めに『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』。地上波や配信そしてイベント会場のような、擬似的にリアルタイム性を確保できるメディア上でフェイクドキュメンタリーや実話怪談が隆盛を極めるなか、あらかじめ虚構であることが明らかにされる劇映画はどう振る舞うべきか。そのような問いに真摯に取り組んでいる。発見される記録媒体——ビデオテープ、カセットテープ、写真、新聞記事——、目の前の他人の肉声で語り直される怪異。フェイクドキュメンタリーと実話怪談が、劇世界の内部において「事実」として発見され、再生され、解釈され(損な)うという形で、制作の素材として取り込まれており見事なのだけれど、あまりに理に落ちており、映画としては退屈だった。ルドンが途中で遊びにきて、膝の上でごろごろしだしたのも不利だった。繊細な恐怖表現は猫のかわいらしさには勝てない。元気な時に見たらあれこれ評したくなってわくわくしただろうが、浴びるようにホラーしたいというような時にこれはちょっと、大人の味すぎたかもしれない。スナック感覚なものを、と『きさらぎ駅』を見て、こちらは楽しくてきゃっきゃとはしゃいで、ホラーというよりはサービス精神たっぷりな娯楽作だな、そしてそれでいいんだ、という気分でつづけて『リゾートバイト』。爽やかで、ほとんど『学校の怪談』という感じ。夏休み映画だ。楽しかったな。

日が暮れてからスーパー。夕飯の買い出し。コンビニで『週刊新潮』を買う。倉本さんの連載で『会社員の哲学』が取り上げられている。愉快だ。焼売を作る。お腹の具合が悪くてぐったりする。奥さんから、ホラーばっかり見てるから、と呆れられる。霊障だ。そういえば『mono』の素朴すぎる霊能描写、あまり好きではない。ないものが見えるからいいのであって、あることが自明になってはいけない。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。