2025.06.20

社交しようぜという機運が高まってきており、『社交する人間』を読み始めた。

〈社交世界のなかではすべてが遊戯であるから(…)遊びの世界ではルールを守ることは楽しみの一部である〉。しばしば現実の道徳律より厳しいゲームのルールを〈守る苦労がそのままゲームの面白さだといえる〉からだ。〈行儀よくふるまい他人を思いやり、主人として客としての義務を尽くすこと〉を各々が自発的にめざす、〈道徳そのものが遊戯化された〉社交においては、〈個人の自由と全体の調和が自然に両立〉するだろう。以上のような、ジンメルのいささか理想化された社交論は、第一次世界大戦のさなかに書かれたことを鑑みるに、痛切な社会批判としても読むことができる。

あけすけな欲望の達成のために他人を手段化するというのが常態化しているのがSNS・マッチングアプリ以降の社交空間であろうと思う。そのような苛烈な相互手段化は、〈もともと自分が一定の目的に奉仕していて、自分自身をもそのための手段にしている〉事態の深刻化に他ならない。誰もが簡便かつ迅速な目的遂行のために、自発的にタグを引き受ける。自己を効率的に伝達形な形に圧縮するために、AIによって要約可能な素材として振る舞うことへの抵抗も弱まっていく。そのような現在、〈互いに利用価値がないという意味で平等になる〉場をどう作れるか。そういうことにずっと興味がある。いまじゃほら、こうした益体ない日記でさえ、なにかしらのデータとしてマイニングされちゃうわけだから。

とうとう『オブラ・ディン号の帰還』をクリア。奥さんと二人でああでもないこうでもないとゲームするの好き。桃食べた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。