2025.10.16

『地下鉄道』を読み始める。これは小説を読んでからドラマ版を見たい。夜は市川にBUCK∞TICKのツアー初日を見に行く。

その前にちょっと寄り道して256nicomでランチ。奥さんが気になっていたお店で、前日の夜に思いついて折好く予約がとれたのだった。カレーとパフェのお店で、パフェはカレーを食べなければ食べられないらしい。僕は基本に忠実にカレーとパフェを、奥さんはグラタンとかき氷を注文。どれもたいへんおいしかった。栗のポタージュは、シナモンで引き立つミルキーな甘さを主軸にしつつ、垂らされたオリーブオイルと強めに利かせた塩味によってぐっとごはん感を高めている。これは家でも試してみたい。ポタージュは切り方とか面倒なことを考えないで味の組み立てだけ考えればいいので自炊に応用しやすいことに気がついたのは今年に入ってからだ。カレーの構成は堅実。パフェもかき氷も栗なのだけれど、前者はクリームやアイスに加工された栗をラムや葡萄のジェラートやキャラメルで仕立てる洋風で、後者は栗をそのままごろっとあしらった和風で、味がぜんぜん異なるので楽しい。かき氷は単純な和風ではなくクリームにチーズが練りこまれていて面白いのだが、底からごろっとチーズが出てきたので愉快だった。店内にはドライフラワーが繁茂していて、左官仕上げの壁面にはドライフラワーが一緒に塗り込められていた。料理含め野趣を入れ込むバランスがユニークなお店だった。

満腹で、そのまま市川市文化会館まで一駅だか二駅歩いていく。歩道が狭く、うなぎの寝床のような住宅がひしめき、交通量が多い。歩きにくい苦手な道だった。大きな商業施設に隣接する産業科学館で過ごそうと目論んでいたのだけど、着いたころには閉館時間で残念だった。立派な図書館があったのでそちらを見ると、なんと天井から積読の塔が突き出ている。なんだあれは。どうやら中庭にオブジェがある。一階から二階を超える高さまで本が積み上げられているという形態のもので、図書館にある彫像としてこれ以上のものはなかろう。トイレを借りついでに蔵書検索すると『プルーストを読む生活』はなかった。残念。「プルースト」と打鍵するだけで予想変換で署名が出てくるので期待してしまった。

暗くなる前に会場まで歩いてしまおうと歩いていくのだが、まったくライブに向かっている気分にならない道で、だんだん何をしに来たのかわからなくなる。いきなりドンキにぶつかって街になる。微妙に時間を持て余しつつ入場待機列に並び、着席すると猛烈な眠気がきて二人して開演まで居眠り。今晩のBUCK∞TICKはチェッカーズだった。セトリはもはやおなじみの構成。市川市文化会館はいい小屋だった。新曲はライブで聴くとどちらもいい感じ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。