2025.12.28

さすがに昼まで眠る。奥さんは五時までかかって完走したとのことで同じ愚行をおかしていたようだ。同衾、という文句を添えて、ルドンと枕を半分こして添い寝している写真が送られてくる。愛くるしい。けだものもヒトも。遅い朝食の直後、手土産で持って行ったチョコレートを一緒に食べる。それから祖母を訪ねることに決める。

なぜここに?という立地の道の駅で途中下車。元々何があったのかも思い出せない。田んぼだろうか。下道を走っているだけなのにサービスエリアに寄れるような嬉しさがある。天丼を食べる。フードコートなのに空いているなと思っていたらどんどん混んできた。人の流れは不思議で、そういえばいつも、後から混んできて、食べ終わる頃にはみんないなくなっていた。食べるのが特別遅いという自覚はないし、なんなら早食いを気にしているくらいなのだけれど、家族で食べる時はいつもそうだった。

祖母の家にはたくさんの犬や猫がいたけれど、いまでは三匹にまで減った。犬が二匹に猫が一匹。玄関まで突進してきてうりうりと撫でくられるのが好きだった黒柴は、いまではおっとりと窓際で温まっていて、穏やかに振り返ってあらあらよいしょ、と挨拶をしてくれる。二階を転用しているという伯父のアトリエを見せてもらっているあいだ、階下からあぅー、あー、と赤子のような声が聞こえて、こちらは年老いたパピヨンで、むかしは臆病でずっと股の間に尻尾を挟んで後ずさっていたけれど、いまでは尻尾を守っていた後ろ脚はおむつを履いて萎えており、前脚だけでひょこひょこと歩きまわる。節々が痛むのか、ときおり声をあげているのだとわかる。シフォンケーキや蜜柑を頬張りながら伯父と父の会話に口を挟みつつ、母と祖母の話していることに耳を傾ける。とりあえずいることがどれほど重要なことなのかを考える一年だったな。祖母の前にはずっと三毛が微睡んでいて、三毛はたしか十七になる。母によると十五じゃなかったかと言っていた。三毛はときおり立ち上がってはケーキの皿にのこったクリームを舐めとろうとする。年齢を感じさせない若々しさを猫は保っている。もちろんルドンのことを考える。あと十年、一緒に元気に暮らせるだろうか。そうだといい。十七時くらいにお暇する。名駅まで車で送ってもらい、以前妹たちを送った日は二時間以上かかったと聞いていたけれど今日は順調に流れて一時間で到着した。車の移動は時間が伸び縮みする。エスカの地下駐車場の料金をケチってロータリーに路上駐車する恥知らずをいつものように痛罵しているあいだにスマホでチケットを買う。それで新幹線に乗り込んで、何をしていたんだったか。たぶん寝ていたらすぐに東京に着いた。思ったより早めに帰宅して、ルドンはさっそく膝に乗ってくるので存分に愛でる。それから引くほど成長している椎茸を収穫し、冷蔵庫に入れようとすると不在の三日間で収穫された大量の椎茸がすでにあって、その量に驚く。すれ違いでこんばんは奥さんが不在なので、とりあえず古い方の椎茸を醤油で焼いて、あとは椎茸カツにしてカツ丼として食べる。

それからゆっくりお風呂に浸かって、ルドンと一緒に布団に入る。今晩のルドンは腕を枕にして眠りたいらしくがっちりホールドしながらすぴすぴ寝息を立てている。なんとなく寝付けず、『野球・文明・エイリアン』をなんとなく読み始め、最新話まで読み通してしまう。ちょっと睡眠リズムが破茶滅茶になっておりたいへんよろしくない。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。