2021.08.15(2-p.150)

副反応を恐れるあまり昨晩は20時には寝た。起きたのは12時近かった。あいだすこし目を覚ましたけれど15時間は眠っていただろう。時間感覚がおかしくなって、すでに五日くらい外に出ていないような気がするが嘘だ。ずっと食べログの画面のような夢を見ていて、夢の中の視点はどこにも存在せず概念としての食べログ画面が延々とスクロールされ続けていた。それはずっとすだちうどんのページだった。無性にすだちうどんが食べたくなった。すだちはなかったので大根をおろしてポン酢をかけてうどんにからめて食べた。尻尾の方だったので大根が辛くて涙が出た。

同居人の頂き物だというシャインマスカットでフルーツサンドを作ってくれてみんなで食べた。午前中はなかったけれどよい一日だと思った。奥さんとおしゃべりしていて、『ゴールデンカムイ』の面白さとガン監督版『スーサイド・スクワッド』の面白さには通じるところがある。誰もがわりと命の安い悪人で、いつ死ぬか油断ならないし、目先の利害だけで動いたりするから次の一手の一貫性を信用できない。ボタンの掛け違いどころか各々プレイしてるつもりになってるゲームからしてちぐはぐで、だからこそどこに転んでいくのかさっぱりわからない、みたいなところがそうなのだと話していたら読みたくなってきて『ゴールデンカムイ』の単行本の続きを追いかけるとまあ面白くて、ほんとうに面白いなあ! とうきうきした。

腕は痛いけれど案外元気なままで、もっと悪趣味なもの観て最低の気分になりたいな、と『ブライトバーン』を観る。エリザベス・バンクスを見て『スリザー』だ、と思う。期待通りとても悪意のある映画で、超パワーのほかは平凡な反抗期の少年でしかない、というのが本当に怖い。場当たり的な反抗が取り返しのつかないことになるのにヒョエエとなるし、反抗期の沸点の低さと幼い悪知恵はちょっとした不注意で文字通り致命的でありうる、という緊張感がずっと続く。12歳の少年らしいささやかな生活圏内でしか展開しない物語の小ささと、執拗なまでに痛そうに撮る人体破壊描写のギャップ。最低だった。エンドロールで突然出てくるある人物に大喜び。

満足して奥さんとムジュラを進めて、奥さんはとうとうゾーラのところをクリアしてここからは僕も観たことのない景色だった。お化けがたくさんいる荒れ果てた土地に着いて、しかしその手前の巨大お化けとの追いかけっこは記憶にあった。このイベントだけは先にクリアしていたらしい。

夜はhulu の「ニコロデオン・チャンネル」というのでスポンジ・ボブのミュージカルを観ていた。原作のアニメはあまりよく知らないのだけれど、紹介のツイートを見かけて舞台は好きそうだったので観るとアメリカアニメの擬音やデフォルメの表現がきちんと板の上に表現されていて、しかもそれらは安易なプロジェクションマッピングなんかでなく、アナログな装置と生演奏と役者のバカ高い身体能力によって余す所なく表現されていて、とっても良かった。

液晶を見続けて、さすがに眼精疲労で頭が痛い。今日はずっと天気も悪かったし、こういうとき僕は普段から体調が悪いので、どこまでが今日ならではの不調かよくわからない。とにかく今はとっても具合が悪く、早く日記を書き終えてこの忌々しいブルーライトから僕の両眼を引き離してやりたい。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。