2021.08.18(2-p.150)

今朝配信されたオムラヂを聴いて、自分ですら油断すると話に追いつけないほどの勢いで話す自分たちに、よう喋るなあ、と感心する。

きょうもあまり本が読める体調ではなかった。『江戸のアウトロー』と『郵便配達夫シュヴァルの理想宮』をどちらも三〇ページほど読んだかどうかという感じ。特に『江戸のアウトロー』はかなり面白いので、もうちょっといい状態で読みたい気もする。途中からもう今日は無理かもと思って気分転換に見た、AmazonPrime 版なのだろうか、長尺に再編集されたNHKの庵野のドキュメンタリーを見て、これが思いの外とても良くて、最後はうっすら涙が出たりもした。制作のエゴと尊さよ、と思ったし、何よりも庵野という人の優秀な組織人っぷりというか、自分という個人を超えて作品を作るための方法をちゃんと持っている人なのだ、というのに感動すらした。プランを立ててしまうと仕事の範疇が決まってしまうから限界もまたそこで規定されるのだということに、かなり自覚的な作り手であり、しかしプランがなければ本来組織でのものづくりというのは破綻するのだけれど、それを破綻の手前でなんとか保ちつつ、プランに基づく管理も、強権的なエゴでの支配もなしに、なぜだかチームを完成に向けて動かせてしまう、その手腕の恐ろしさを撮ることに成功していたのだが、それも庵野の指導あってのことだと思えなくもないのがまた凄い。制作というのは個人の作家性だとかそんなものだけでは成立するものではないということと、それでも個人を超えた作品というものもまたその起点には個人があるということを、ちゃんと両方感受できるいい映像だった。シン・エヴァもまた観ようと思うが、それはもう少し置くとしてナディアを観始めた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。